南の最高級魚スジアラを突く
7がつ23にち、てんき はれ。
今日は待ちに待った、豪華メンツでの合同魚突き。
「海人団のリーダー」にしてYOUTUBEの「GoPRO3魚突き」でお馴染みの「水面爺さん」、そして我がチャンネルのデビルスナイパーといえばお馴染みの「ダイスケさん」、そして「くまモンさん」とワタクシ「ダイツベ」の海人団4人。
そして遠路はるばる宮崎からのゲスト「モーリィさん」をお迎えして、総勢5人による「巨大合同魚突き」の開催と相成りました。
とある物産館で合流し、みんなで「どこにいきますか」とポイント相談。
当日になってから、その日の風向きなどから場所を判断するのが「スイメン流」。スイメンさんは南薩エリアの開拓者にして、魚突きのできるポイントを一冊にまとめた「水面ファイル」なるものも所持しておられます。その情報量こそが、海人団のリーダーたるチカラなのであります。
さて、そうして最終的に選ばれたポイントはややシナ海側で、前回モーリィさんが遠征に来られたときに突き損なわれた「アカハタ」が多い海域ということになります。
(※近頃の鹿児島薩摩半島では錦江湾寄りにオオモンハタが多く、東シナ海寄りにアカハタが多いというふうに、この二種のハタで海域が分かれている印象がある)
ダイツベも初めて潜るポイントでした。
でもずっと潜ってみたいと思っていたので、結構ダイツベがアピールしてそこになったようなカンジもします(笑)
ただ、この海域は今年になって「サメの目撃」がそこそこあるらしく、気をつけようねということでした。
ちなみにダイツベ、昨夜は「モリでひと突き」をまた読み返しておりました。
そういえばこの本の中で栗岩さんが、サメに対し「突いた魚は体から離してはいけない」とおっしゃられていましたね。
何故かというと「サメも人間が怖いので」腰につけている限り、滅多なことでは食らいついてこないのだという。逆にフロートで魚を通している仲間は、せっかく突いた魚をサメに食われ、栗岩さんだけは一度も被害を受けなかったとのこと。
信じるか信じないかは、僕たちしだいですが、僕はやっぱり腰から下げる派です。
また、僕がこの本の中で一番好きな章は「九州遠征」の章です。というか、ここ鹿児島にある離島「甑島」での遠征記ですね。
好きな理由は、今、自分の住んでいる土地に近いからというのもあるかもしれませんが、一番の理由は「ある難易度の高い魚種」に対し、栗岩さんが「アクアヤスで挑む」そのエピソードとテクニックや駆け引きの数々、一流のアクアヤス使いが「何を考えてあの超難度の魚に臨んでいるのか」、そこがめちゃくちゃに面白いのであります。
そして、その難度の高い魚というのが「スジアラ」になります。
僕が初めてスジアラと対峙できたのは、去年でした。
高級魚「ハタ系」の中でも大型魚種にして上位レベルの魚であることは知っていましたが、その行動パターンまでは、実際に海の中で会うまで分からないものです。
ハタ系の行動パターンには「こちらを見つめながらホバリング」というのがあり、そこが狙いどころだったりします。しかし、スジアラのそれはあまりに「短い」のです。
本来ならそのホバリング時に「睨めっこでゆっくり近付く」というのがハタ系の基本だとは思うのですが、スジアラは警戒心強くて頭もいいようで、間合いの取り方が上手いんですよね。ちょっとこっちを向いたと思ってもすぐに方向転換。ハタにしては回遊性が強く、移動も多い。近づくことを許してくれないんです。
だったら、「穴撃ち」ならばどうか、と考えてもみました。
確かに、ハタ系のもう一つの狙い目に「巣穴に籠って安心しているところ」というのは間違いではありません。ただ、このスジアラは全く穴に籠らないんですね(夜でもない限りは)。なのでストーキングして穴に追い込んだと思っても、いざ覗いてみたら違う穴から抜け出ていることが非常に多いのです。
ゆえに仲間内でも(ていうか全国的にも)この魚を突くということへの評価は非常に高いのです。ましてやアクアヤスなど無謀だろうと、仲間からは「チョッキ銛」に変えることをいつも勧められてきました。特に僕が去年スジアラにある程度近付いていた動画を撮った際は「チョッキなら突けてるよー、もったいない」と言われたこともあります(笑)
それでも、アクアヤスで突くことにこだわり続け、今年の自分があります。
――そんなこんなで、海の中。
ダイツベ、ちょっと夏風邪が長引いており、鼻ズルズルな状態で深場に行くのは「耳抜き」的な要素で難しく、今日は浅場に絞ることにしておりました。
浅い場所でも、良い地形に張っていれば、意外と良い獲物にも出会えます。ていうか、だいたいいつもそうですね、ダイツベの潜り方は。
この日の浅場ホットスポットは沈みテトラだったり、大きな自然の根もゴロゴロしてたり。いいカンジです。40くらいのイシダイも割と単体で何度か出現してくれました。ただ、寄せには反応を見せますが、射程内には収まりません。まだ難しい。
そんなカンジのことを呑気に繰り返しながら、水深6m前後のところをうろうろしていたんですね。
そしたらですね、ある時、ふと、メジナの群れが足元を通過していったんですね。そしたらその中に、ちょっとメジナとは違うシルエットを見たんですね。なんか長細いかんじです。
――まさか。
そう思い、すぐにその場でジャックナイフしました。
もちろん音を立てないよう、潜りながらスノーケル内の空気も全部吸います。
ジャックナイフ前に見た「群れの最終的な位置」はちょっと離れた根回りです。その地形だけを頭に思い描きながら、顎を引いて、魚の方を直接見ないよう、興味のないふりをしながら数m潜水。浮力より自重が効いて、自然と沈み始める水深になったところで顔を上げます。
――いました、スジアラです。
やや小ぶりですが、少しこちらに寄って、ホバリングをはじめました。
フィンキックはしないように、ジャックナイフの余力と自然落下のチカラにだけ身を任せ、ノーウエイトのゆっくりとした速度で魚に詰め寄ります。
しかし、そこはやはりスジアラ。
ちょっと近付いたあたりですぐに身をひるがえし、こちらと距離を取ります。スジアラは岩と岩の間を抜け、さらにその奥にある岩の前へと、かなり移動しました。
(さすがにムリか……)
そう思いながらも平常心を保ち、ゆっくりと後を追います。そしてダイツベが「岩と岩の間」に差し掛かったときです。スジアラが、ゆっくりと、コチラを振り返りました――。
――ドクン。
イケる、そう思った途端、緊張が全身に走りました。でも、それは良い緊張感のようにも思えました。
なんとなく、直感的に、次に方向転換されたら、もう二度とこちらを振り返ることはないだろうと思いました。最後のチャンス、この睨めっこで決められなければ、もうスジアラは突けないと、そう思いました。
同時に、スジアラがこれ以上近づかせてくれるだろうか、とも思いました。スジアラが振り返ったタイミングでは、ヤス先から2m以上離れています。しかし、僕のヤスの飛距離は精々1m。さらにハタ系の反射神経を考えると、飛距離ギリギリで撃つのは恐い。
――もっと近づかなければ。
そう思ったところまでは覚えています。
ここからあとは何かあまり覚えていません。どこのどのタイミングで銛を放ったのか、動画を見返してこんなだっけ? というカンジがしました。
動画を見返したところ、「睨めっこで限界まで寄り、最後の最後に我慢できなくなったスジアラが方向転換で身をひるがえした直後、僕の手から銛が飛んでいき、鋼の三又がスジアラの左カマから入って、右の頭の方から抜けています」。
その瞬間に「おさえなきゃ!」と思ったこと、そのときに初めて意識が戻ったことだけ覚えています(笑)
でも実際、押さえる必要もないほどにガッツリと貫通し、カエシも効いており、むしろ銛先を抜くのが一苦労でした(笑)
突いたサイズは「39.5cm」と、正直スジアラにしては小さいです。(一応、50オーバーをアクアヤスで仕留めるのが、僕の突き師としての目標)
でもあの駆け引きを制した、この興奮が僕にとって何よりも大きな獲物です。
スジアラがカッコよすぎて、いつにないほどの写真集になってしまいました(笑)
捌いてると、皮下の脂の強さに気付きました。
食べてみても、ハタ系らしい歯応えの良さと、ゼラチン質なのかトロっとした甘みを感じました。確かに、他のハタとは違うようなそんな気がします。
ただ、それはすっごい意識して食べてみての感想です。先入観はあると思います(笑)
でも、これだけの量を僕一人で食べたのですが、最後の一切れくらいになって、初めて気付くこともありました。それは、僕がこの量の刺身を「最後まで食べ飽きてなかったこと」です。
スジアラには、やはり、何かあるのでしょうか。
でも一番旨かったのは、翌日に作ったマース煮です。旨味がまじでつええ!!
最後にこの日の動画です。
ちなみにモーリィさんサイド。
これでモーリィさんは「アカ、キジ、オオモン、そしてクエ」を突いたことになりました。
ダイツベは「アカ、キジ、オオモン、スジアラ」なので、どちらが先にあと一種のハタを突くかも、今後の見どころとでも言いましょうか(笑) モーリィさんのおかげで、南九州盛り上がってきました!
切磋琢磨していきたいところです!