DAITUBEの魚突きブログ

「魚突き」ときどき「BBOY」でお馴染みのYOUTUBEチャンネル『DAITUBE』です。「三又の土佐銛先」と「2mのアルミ銛」を使用した、いわば「軽装魚突き」での突果にプライドをかけています。

鹿児島の魚突きチーム「海人団」①

6がつ 18にち、てんき はれ。

 

 今日は総勢5名による、巨大合同魚突きでした。

 

 参加メンバーは肥薩の魚突きチーム「海人団」の構成員、とその新メンバー。というのもワタクシ、ついに海人団に入団にすることにあいなりました。(そもそも、もともと団員みたいに一緒に活動してましたけど(笑))

 

 海人団とは、「Suimenjijii(YOUTUBEの【Gopro3魚突き】の作者)」さん率いる魚突き集団です。

 

 今日の合凸に参加したのは、そのリーダー「水面爺(Suimenjijii)」さんと、海人団随一の手練れの者「喇叭潜人(らっぱせんにん)」さん、そして団の切り込み隊長「ダイスケ」さんに、その相棒である新メンバーのワタクシ「だいつーべ」、と同じく新メンバーにして初顔合わせの「くまもん」さん、でした。

 

 喇叭潜人さんだけ遅れてくるということでしたが、他の4人は朝8時にはポイント入りし、この魚突きイベントをスタートさせました。

 

 

――いよいよ海の中。

 

 正直、今日の海はまだだいぶ濁っていました。とはいえ瀬戸内育ちの僕からすると、鹿児島の濁りは濁りでない(笑) 空潜りを繰り返したり、浅場だけどいい地形のところをグルグルします。

 

 前半戦のターゲットはハタ系。というかアカハタ、です。

 

 過去に一度潜ったことのあるポイントでしたので、一か所だけなのですが、お気に入りのマイスポットってのがあります。それは「必ずアカハタの群れている岩穴」で、まずはそこを目指してロングスイムします。

 

 30分ぐらいの移動で、道中には良型のイシダイに一匹だけ遭遇しましたが、出会い頭に逃げるタイプで勝負には持ち込めませんでした。前回、ダブルスナイパーで潜った海より魚影も薄いといった印象です。

 

(ここにはいてくれよー)

 

 願うように、僕はジャックナイフします。

 

 体を垂直にし、鼻をつまみ、耳抜きしながら潜行を続ける。が、今日は全然耳が抜けない。アカハタの居ついているその岩穴は水深11mほどのところにあります。ボクにはちょっとしんどいです。

 

 徐々に近づいてくると、岩の上に早速一匹を発見。見張りの者でしょうか、僕に気付くと岩の上から降りて、穴に逃げ込もうとします。

 

 本日の第一発見アカハタではありましたが、ちょっと小さい気がしたので、目を穴の方にやります。最初のと同じか、少し小さいくらいのが一匹こちらを見ながらホバリングしています。これもスルー。

 

 目線を右にやります。三匹目がいました。岩陰に半分くらい隠れて、こちらを見つめています。やや大きいように見えました。狙いどころか、そう思い銛先を向けます。角度も距離も文句なしです。僕は銛を放ちました。

 

――が、ミス。

 

 避けられたというか、撃つ前に気取られて逃げられたというか。少し力み過ぎたかな、というカンジです。

 

 しかし、このミスショットで警戒されたのか、岩穴からいなくなってしまいました。そして他の場所もぐるぐるしますが、最初にスルーしたほどのサイズすら、全然アカハタが見つかりません。

 

 ポイントを移動していると、斜面のように海底に落ち込む岩礁の際に、別のハタのシルエットを発見。この海域では珍しい、オオモンハタです。

 

 

 アカハタとはまた違った動きをするハタでして、僕としてはややニガテなハタです。というのも、警戒するとこちらから「隠れる」アカハタに対し、オオモンは警戒するとこちらから「離れる」のです。2m銛の僕からすると、距離をとられる逃げ方をされると大ダメージです。

 

(※ちなみに4m銛のデビルスナイパーはオオモンが得意で、アカハタが苦手といいます。射程があるぶん距離には強く、反対に隠れられて角度を取られると大ダメージなのですね)

 

 

 とまあ、そんな訳で。慎重に、岩を這うようにして、僕はオオモンに近づきます。サイズは決して大きくありませんが、まだ春濁りも抜けきらないような初夏の海です。贅沢は言ってられません。それなりに近づき、魚の頭部を狙って、銛を放ちます。

 

――が、ミス。

 

 避けられたというより、狙いを外して、頭部スレスレのところを飛んで行ったカンジ。

 

 このあともう一匹のオオモンを見ますが、こちらを振り返りもせずに逃げていきました。そしてそのタイミングでGOPROエラー。いったん海から上がるハメに。貴重な時間をさらにロスし、なにやら悪い流れです。

 

 

 その後リスタートしてアカハタ2匹、オオモン1匹と対峙しましたが、ミスショットが続きます。

 

(そろそろ突かないと――)

 

 焦る気持ちの僕の目の前に、その魚は突然に現れました。

 

 ヒメジやアオブーの群れる中、岩礁の際ではためくハタ系の大きな尾ひれ。でかい。間違いなくでかい。

 

 それは上層から、海底にあった岩の隣に降りていきました。好都合です。僕とその魚の対角線上に岩が入るよう水面移動し、静かにジャックナイフ、死角に入ったルートでアプローチします。

 

 が、そいつはすぐに岩から顔を出してきました。まだ距離は遠いです。

 

 ちょっと進み、ヤス先1mといったところで、そいつと目が合いました。届きはするかもしれませんが、間違いなく避けられる距離です。

 

 僕は我慢を続けます。10センチ距離を縮めるごとに、心臓が僕の胸を強く打ちます。

 

 と、ここでついに魚の方が違和感に体をよじらせました。正面を向いていた顔が真横を向き、的が大きくなりました。

 

 しかし、僕の反応は少し遅れてしまい、魚は逃げ出そうと尾ひれを大きく動かします。

 

(――ええい、ままよ!)

 

 ヘッドショットは捨てました。

 

 ど真ん中にぶち込みました。

 

 僕の撃った銛の軌道の先、ダッシュしたあとの魚のうしろ半身がありました。

 

 ずどん! バタバタバタバター!!!

 

 突きたくない箇所ワースト3に入る部位を突いたため、暴れ方が半端じゃない。銛先を海底に押し付けながら必死になって取り込みます。

 

 

 突いた魚はオオモンハタ43.5cm。

 

 記録サイズではありませんでしたが、今年では初のオオモンハタです。前半の悪い流れを払拭する素晴らしい獲物に、僕はそっと胸をなでおろしました。

 

 その後、午後から予定があるために帰るという水面爺さんとすれ違い、ダイスケさんや、遅れてやってきた喇叭潜人さんと合流。みんなも良いヤツ突いてました。

 

 エギジット。

 

 朝8時からやって、もう昼の1時になっていました。かなり探さないと魚もいないような状況でしたからムリもないです。

 

 みんな突いた魚を見せ合います。

 

 ダイスケさんはイシダイにフエフキダイ、小さめのアカハタ。

 

 喇叭潜人さんはイシダイを2本。

 

 うん、みんなさすがです!

 

 そしてみんなが「オオモンいたのー?」と、驚いてくれます。どうやらオオモンハタを見つけたのは参加メンバー中、僕一人だけだったようです。気分がいいですね。

 

 みんなで並んで海に向かい、談笑しながら、魚のウロコを落とします。

 

 

 あの魚がいた――。

 

 この魚がいた――。

 

 あこのポイント深いよね――。

 

 

――同じ日、同じとき、同じ場所で潜った突き師の間に、話題は事欠きません。海は世界に一つしかありませんが、それに向かう人々の胸の中、海のドラマは海人の数だけあるのです。

 

 

 喇叭潜人さんは父の日だから、くまもんさんは明日の仕事のために、と帰り支度をします。

 

 そんな中、僕はまだちょっと心残りがあり、ダイスケさんにバカげた進言をします。

 

 

 

「もう一本、いきませんか?」

 

 

 

 この日記は後半へと続きます。