夏キャンプ 高級ハタ三種突き!
7がつ27にち、てんき はれ。
さて、今年も夏の恒例行事「パリピ大島キャンプ」に行ってまいりました。
去年、僕が初めてテントキャンプデビューしたのが、この島のキャンプでした。もちろんそのときも移動は自転車で、食料はほぼほぼ現地調達。しかも期間は4泊5日という、気合の入りよう(笑) ちなみにその去年の映像はコチラに。
思えば、まだこのときはスイメンさんたち、現海人団のメンバーにも出会ってなく、鹿児島のポイントもまったく知りませんでした。外海で潜ったこともほとんどなく、このキャンプ期間での魚突きは、当時の自分にとって本当に良い修行になりました。
アカハタの突き方は、間違いなくこのときのキャンプで身についたと思ってます。
さて、そんなこんなで、今年は昔より成長したところを島の魚たちに見せてやりたいところです。そこで、アカ、キジ、オオモンの三種類のハタを突いてやりたいと企んでます。
島についてテントを張っていると、ビーチハウスのお姉さん、キャンプ管理棟のおじさんが僕のことを覚えててくれて声をかけてくださいました。ただ、去年一番仲良くなった海の家のスタッフさんだけ、今年から別会社の担当になってます。去年は一緒に宴をしてくれて楽しかったんですが、、、今年からはなんかそういうノリじゃないですね( ;∀;)まあ仕方ないですが。
あと、氷を売らなくなってしまっていたのが一番厳しいですね。魚が冷やせなくなったので、連泊も事実上不可能に。今年は二泊するつもりでしたが、一泊で帰らないといけなくなりました。
でも、それでも海は変わらずそこにあります。
気を取り直して、キャンプ初ダイブといきました。
――ついに、海の中。
めっちゃ濁ってました(笑)
空潜りしたらオオモンハタが見つかったので、そのまままっすぐアプローチ。横に岩礁があったので、それにくっついて自分のシルエットを隠すようなイメージで近寄ります。するとオオモンが横を向いて顔が狙えたので早速突きました。これでターゲットは残り二種。幸先いいスタートです。
次に、去年の自分にとってはめちゃくちゃ深かったけどアカハタの群れていた場所ってのがありまして、そこで突いてやりたいなーと狙っていきました。
が、今年はそこのポイントにはアオブーしかいなかったです(笑)
激濁りの中、空潜りを頑張りましたが、全然見つかりません。ついでに水深を測ってみましたところ、10mでした。今の自分では割と勝負できる深度。去年はこれがホント深く感じていたのですから、かなり成長できたといえるでしょう。
ただ、相変わらず魚は見つからず、GOPROの電池が先に切れてしまいました。やむを得ず一端あがることになりました。ただ、その帰り道に、いいポイントを見つけることに――。
――二本目。
さっき見つけたポイントにまっすぐ向かいました。
そこはすごく浅いんですが、無数のテーブル珊瑚が一面に広がっており、アカハタもオオモンもかなり居ついていました。しかも良型です。
アカハタを狙いました。
静かに着底して動けば割と近付けますが、頭を狙える角度になる前にサンゴの下に潜られます。別に潜られてもテーブル珊瑚下は全然狙える角度なのですが、そこを突くと動画に映らないのでなるべく避けたいんですよね。まあ、一匹そこで突いてしまいましたが(笑)
その後はキジハタを探します。これだけハタ系がいるなら、キジハタもいておかしくないと思ったのですが、全然見つかりません。キジハタは明日にするとして、とりあえず今晩のおかずとしてアカハタをもう一匹狙うことにしました。
今度はサンゴに隠れる前を撃ちました。が、さすがアカハタです。反射神経素晴らしく、下顎を捕える軌道で撃った銛でしたが、カマに入りました。穴に入ってるときは油断してくれているために狙った通りに当たってくれますが、外でのホバリング時はアカハタの回避率高いですね。ヘッドショット難しいです。
アカハタ(37.5cm)で記録を(1.5cmUP)で地味に更新。オオモンは(43.5cm)。
水中では「ついに40オーバー突けたかも!」って思ってたんですがね(笑) まだまだアカハタの40の壁は超えられそうにありません。
海から上がった後は、簡単な姿造りにして食べました。
竹串など使わず手抜きのつもりで盛りましたが、いつもよりキレイな気がします。シンプルな方がいいのかもしれませんね。
あと、他のキャンパーにDAITUBEを見てくれている方がいらっしゃいました! そして差し入れまでくださいました!
焼き鳥めっちゃ美味しかったです(^◇^)
その方も魚突きしにきてたそうなので、明日は一緒にやることにしました(`・ω・´)
――二日目の海。
初日とは反対側の海で潜りました。
透明度は少しマシなように感じました。
キジハタも小さいのは一匹見つかりました。でも、最後の一種を突くのにもうちょっと大きくないと、って思って一端はスルー。
しかしその後もキジハタは一匹も見つからず、結局、最初のキジハタがいた根に戻って狙うことに。
ところが、です。
いざ狙うとなると簡単に避けられてしまいました( ;∀;)そして警戒心をもったキジハタは巣穴を移動(笑)
僕的に、アカハタとオオモンハタ、行動パターンは全然違いますが難易度的には同格かと思ってます。でもキジハタはその二種より「警戒心の差で」若干頭一つ分だけ上のように感じます。(※あくまで僕の主観です)
しかし、こうなると僕的には困りました。
というのも、氷がもうほとんど溶けてしまっているので、早く島を出て買い足さないとマズイんですね。とはいえ、このまま帰ったんじゃあ、動画としてつまらないものになってしまう。すべての苦労を水の泡にする訳にはいきません。
初日のポイントに、僕は移動しました。
そして、その賭けが功を奏したのか、二匹目のキジハタをついに発見しました!
サイズはまあ、最初のとそんなに変わらない30cmクラスでしたが、もう背に腹は変えられません。狙いました。
しかし、キジハタは根に隠れては何度も身をくらまします。
ただ一定のエリアにはとどまってくれているので、チャンスはありました。そうして根に潜る前を狙って何回かアプローチを繰り返し、睨めっこから左頬を狙っての一閃。
しかし、咄嗟の反射でキジハタが体を大きくひるがえしました!
「マジか!?」
と思いましたが、顔の向きが変わっただけのところで銛が直撃。右の頭部にキレイに入りました。
サイズは32cmと少し残念ではありましたが、これでなんとか三種は揃えられ、任務達成ということになりました(^◇^)よかったー。
めでたし、めでたしです。
それでは最後にこの日の動画です。
魚突きはマイナーであるべきか
(※今から書く記事は、FC2ブログ時代に書いたものとほぼ内容は一緒です。ダイツベの進む方向性を再確認するため、改めてこちらにも書かせていただこうと思い、コピペと補足をします)
ダイツベが「カンパチ」を突いた動画を上げてから一ヶ月が経ち、YOUTUBEのチャンネル登録者は400人増え、今では「1750人」とかなりの知名度にまで成長しました。ありがとうございます。
欲を言えば、このブログの読者さまももうちょっと増えてくれれば、なお嬉しいです(笑)
さてさて、しかしながら、です。
このことを喜んで下さる突き仲間はもちろん多いですが、そうでない方もやはりいらっしゃることと思います。
「魚突きはひっそりとやるべき、と考える人たち」ですね。
魚突きは今でもやっぱり、マイナーな世界。
漁師さんとの間でトラブルが起きることも珍しくないことから、肩身の狭い趣味なのは周知の事実で。だから、にわかの突き人口が増えて、トラブルの率が上がることを懸念するのは当然のことではありますね。
なのでネット上に発信することはせず、ほそぼそとやらなければ趣味としての魚突きは、その存在を脅かされる、という訳です。確かにそれは当たっているなあと思います。
でも、自分は違った考えも持っています。
「趣味としての素晴らしさと正当性をもって発信し、世間一般からの理解を得るべきだ」と。
そう、少なくとも、自分のやっているこの鹿児島の条例では「魚突き」はなんら違法ではない。堂々とやっていけないはずがないのです。
ただし、近年、条例も厳しくなって、魚突きができなくなった県もままあります。不満を持った突き師さんは、全国に腐るほどいることでしょう。
では、どんな不満があるでしょうか。よく耳にするものを以下に書きましょう。
〇突き師の本音
日本のように、遊漁の釣りに関してはガッバガッバのゆるゆるで、銛突きだけ異常なほど規制している国は、他にない。
「魚突きはゴミも出さないし、自分の意志で魚を選ぶから外道も出なくて、むしろ海の資源に与えるダメージは少ない。なのに理解されない」というのはすべての突き師が抱いてる不満であります。
「魚を突いてバラしたら、あとでその逃がした魚が死んでいるのを見て悲しくなった。それ以来、釣りはするけど、魚突きはイヤだ」という言葉にも出会ったことがあります。小学生並みの感情論です。
確かに、どんなに腕が上がっても、魚をバラして無駄に傷つけるだけに終わってしまう悲しいことは必ずあります。ただ、それは本当に「銛突き」だけの話でしょうか。
釣りは釣りで、糸が切れてバラしてしまうことがありますでしょう。口に針が刺さったままの魚はどうなるのですか? 自分の目には映らないから心は痛まず、許せるのでしょうか。今年、僕が突いた魚の中に、釣り針の傷が口に残っているオオモンハタがいました。
上顎が変形しているのがわかりますね。
他にも、船釣りで深海から引っ張り上げて、浮袋の飛び出してしまった外道などは、可哀そうではないのでしょうか。
海に潜ったらわかります。釣り人の出したゴミが、海中に散乱しているのが。
もちろん全ての釣り人がゴミを出す訳じゃないのは百も承知です。根掛かりなど、仕方ないゴミだってありますよね。
釣り師が悪いなんて言う気はありませんし、思ってもないです。ただ突き師だけを悪く言われたときは、こういうことを言いたくなります。それだけです。
しかし、そういう理屈を言ってみても、現実問題「釣りは良いけど、突きはダメだ」という条例があります。同じ魚を同じだけ獲ろうと言っても、魚突きだけが冷遇されています。
では、なぜ厳しいのかと言えば「イセエビ等の密漁」と見分けがつかないからでしょうね。まあ、漁師さんの目線で考えればそれは確かに紛らわしく、ストレスになるのも無理はないですね。
でも、それでもやっぱり、獲っているのは魚です。
一般の釣り客が遊漁船に乗って、船一面に魚を並べられるほど釣るのに対して、凄腕の突き師でも自分の肺活量で獲る魚の量はせいぜい腰にぶら下げられる程度なもんですよ。
何度も言いますが、釣りが悪いのではないです。「釣りはいいのになんで銛だけダメか」と、突き師は皆思っていますが、それは釣りを憎んでいるわけでなく、自分たちも認めてくれ、と言いたいだけなのです。
『銛突きのルール』
日本では県によって「銛突きが可能かどうか」が決められています。小型でも、手銛の使用が禁止されている県はあります。ちなみに水中銃の使用は、全国で禁止されています。
確かに手銛と水中銃とでは、水中銃の方がたやすく魚を突けると言われています。
ちなみに、水中銃を国内で販売すること、購入すること、所持すること、携帯すること、撃つことは許されています。なんら問題ないです。ただ、魚を獲ることだけが禁止されているんです。そのことから「威力の危険性でなく、漁獲力が禁止の理由」というのが分かりますね。
でも、確かに突き易いとはいえ、それでも遊漁船などの遊びの船釣りの漁獲量には到底及ばない漁獲力だとは思いますが、、、それでも禁止されているものは禁止されています。
ところが、ネット上では割と多く(それも堂々と)国内で水中銃を使って魚を獲っている内容がアップされています。自分は水中銃はもってないし、使おうとも思いませんが、使っている人などはネットを介して多く知っています。
(※ただし、漁業権をもっていれば水中銃の使用は国内でも可能です)
『魚突きはひっそりとやるべきか』
この水中銃の件に関してはさすがにネット配信は恐いと思います。変な条例とはいえ、条例は条例。水中銃の使用は、せっかく手銛が認められている条例の価値さえ損なってしまいます。
でも、条例にのっとった手銛の使用とその突果の内容等の配信も自粛すべきか、という考えには首を縦には振れません。確かにそういう動画等を配信することで「にわか素潜り」を生み出す影響力となり、トラブル発生の分母数を増やすデメリットは生じます。今の時代、ネットの力はあまりに強大過ぎますからね。
しかし、ですね。強大過ぎるがゆえに、一個人の「こういう動画配信やめよー」で、時代の流れを止めることなども不可能ですよね。
必ずどこかで知らない誰かの投稿はSNSの中に上がり続けます。つまりは、このSNS社会において「ひっそりと」はもはや不可能なのです。
『魚突きはどう進むべきか』
こんな重苦しいこと、本当は自分も考えたくないです。
ただ純粋に、海に入りたい。そして突いた魚をアテに、お酒飲んで気持ちよくなって、「おっぱーい」とかなんとか馬鹿なことを言っていたいだけです。藤岡探検隊ごっこしたり、人に迷惑かけない程度にいろんなしょうもないことをやって、バカして遊んで笑っていたいだけです。そもそも、ちょっとYOUTUBEで配信してるだけで、僕は魚突きのパイオニアのような偉い人物などではありません。
したがって、最後に人の言葉を借りさせていただきます。
尊敬する、アクアライフ栗岩さんのお言葉です。
「インターネット上で獲物写真を出したり遠征記を発表することは止め、ひっそりと静かに楽しむべきだという考えをもつ人も多い。だが私の考えは異なる。それは、魚突きの未来にとって、もはや静かに楽しむことなど何の解決策にもならないということだ。先述の通り、魚突きはすでに世間一般に広く浸透している。時代はもう先に進んでしまっているのである。私たち魚突き愛好家は、魚突きについての正しい知識や問題点、素晴らしさなどを提示し、発言していかなければならない」『モリでひと突き より』
ダイツベが動画配信する一番の理由は、ぶっちゃけ「自己掲示欲」のためです。
自分の活動を多くの人に自慢したいから、見て下さる方に気持ちよくその自慢を受け止めていただくために、できるだけ面白く丁寧に編集をしているだけに過ぎません。それだけです。
だから栗岩さんのおっしゃられるような「魚突きについての正しい知識や問題点」を大々的に提示し、発信できるような者なのかといえば……その実力も知識も器量もまだないかもしれません。
でも、知名度だけはこれからも上げ続けていくつもりです。だから、自分にも責任というものがついてくることは、これから無視できなくなるだろうな、と今から覚悟しつつあります。
ネットを見れば、水中銃はもちろん、手銛も使ってはならない場所での手銛使用等、やっている人はいます。辞めた方がいいとは思います。が、自分はあえて何も言おうとは思いません。それを注意してそれを問題にするよりも、僭越ながらも正当な動画を配信し続け、少しでも栗岩さんのおっしゃられるような「提示・発言」から外れないようなチャンネルをつくっていきたいなあと考えています。
マイナスをなくす戦いでなく、プラスをつくるための戦いに挑みます。
別に、突き人口を増やしたい訳ではありません。本当は増えてくれなくていいです。世間に理解されたいだけです。でも、どうしても考えの違う人は多いので、理解を得るのも無理かなーとも思っています。でも、絶対に確かなものがあるとすれば、それは一つ。
――「魚突き」は何ら間違っていない。
そう、僕らの趣味を、文化を、生活を、どうしても理解できないというなら理解してくれなくていい。ただ、否定はしてくれるな。僕らの楽しんでやっていることは、何も間違ったことではないんです。これが自然に最も近い、生きる姿なのですから。
だから、絶対に否定だけはさせません。
それだけです。
南の最高級魚スジアラを突く
7がつ23にち、てんき はれ。
今日は待ちに待った、豪華メンツでの合同魚突き。
「海人団のリーダー」にしてYOUTUBEの「GoPRO3魚突き」でお馴染みの「水面爺さん」、そして我がチャンネルのデビルスナイパーといえばお馴染みの「ダイスケさん」、そして「くまモンさん」とワタクシ「ダイツベ」の海人団4人。
そして遠路はるばる宮崎からのゲスト「モーリィさん」をお迎えして、総勢5人による「巨大合同魚突き」の開催と相成りました。
とある物産館で合流し、みんなで「どこにいきますか」とポイント相談。
当日になってから、その日の風向きなどから場所を判断するのが「スイメン流」。スイメンさんは南薩エリアの開拓者にして、魚突きのできるポイントを一冊にまとめた「水面ファイル」なるものも所持しておられます。その情報量こそが、海人団のリーダーたるチカラなのであります。
さて、そうして最終的に選ばれたポイントはややシナ海側で、前回モーリィさんが遠征に来られたときに突き損なわれた「アカハタ」が多い海域ということになります。
(※近頃の鹿児島薩摩半島では錦江湾寄りにオオモンハタが多く、東シナ海寄りにアカハタが多いというふうに、この二種のハタで海域が分かれている印象がある)
ダイツベも初めて潜るポイントでした。
でもずっと潜ってみたいと思っていたので、結構ダイツベがアピールしてそこになったようなカンジもします(笑)
ただ、この海域は今年になって「サメの目撃」がそこそこあるらしく、気をつけようねということでした。
ちなみにダイツベ、昨夜は「モリでひと突き」をまた読み返しておりました。
そういえばこの本の中で栗岩さんが、サメに対し「突いた魚は体から離してはいけない」とおっしゃられていましたね。
何故かというと「サメも人間が怖いので」腰につけている限り、滅多なことでは食らいついてこないのだという。逆にフロートで魚を通している仲間は、せっかく突いた魚をサメに食われ、栗岩さんだけは一度も被害を受けなかったとのこと。
信じるか信じないかは、僕たちしだいですが、僕はやっぱり腰から下げる派です。
また、僕がこの本の中で一番好きな章は「九州遠征」の章です。というか、ここ鹿児島にある離島「甑島」での遠征記ですね。
好きな理由は、今、自分の住んでいる土地に近いからというのもあるかもしれませんが、一番の理由は「ある難易度の高い魚種」に対し、栗岩さんが「アクアヤスで挑む」そのエピソードとテクニックや駆け引きの数々、一流のアクアヤス使いが「何を考えてあの超難度の魚に臨んでいるのか」、そこがめちゃくちゃに面白いのであります。
そして、その難度の高い魚というのが「スジアラ」になります。
僕が初めてスジアラと対峙できたのは、去年でした。
高級魚「ハタ系」の中でも大型魚種にして上位レベルの魚であることは知っていましたが、その行動パターンまでは、実際に海の中で会うまで分からないものです。
ハタ系の行動パターンには「こちらを見つめながらホバリング」というのがあり、そこが狙いどころだったりします。しかし、スジアラのそれはあまりに「短い」のです。
本来ならそのホバリング時に「睨めっこでゆっくり近付く」というのがハタ系の基本だとは思うのですが、スジアラは警戒心強くて頭もいいようで、間合いの取り方が上手いんですよね。ちょっとこっちを向いたと思ってもすぐに方向転換。ハタにしては回遊性が強く、移動も多い。近づくことを許してくれないんです。
だったら、「穴撃ち」ならばどうか、と考えてもみました。
確かに、ハタ系のもう一つの狙い目に「巣穴に籠って安心しているところ」というのは間違いではありません。ただ、このスジアラは全く穴に籠らないんですね(夜でもない限りは)。なのでストーキングして穴に追い込んだと思っても、いざ覗いてみたら違う穴から抜け出ていることが非常に多いのです。
ゆえに仲間内でも(ていうか全国的にも)この魚を突くということへの評価は非常に高いのです。ましてやアクアヤスなど無謀だろうと、仲間からは「チョッキ銛」に変えることをいつも勧められてきました。特に僕が去年スジアラにある程度近付いていた動画を撮った際は「チョッキなら突けてるよー、もったいない」と言われたこともあります(笑)
それでも、アクアヤスで突くことにこだわり続け、今年の自分があります。
――そんなこんなで、海の中。
ダイツベ、ちょっと夏風邪が長引いており、鼻ズルズルな状態で深場に行くのは「耳抜き」的な要素で難しく、今日は浅場に絞ることにしておりました。
浅い場所でも、良い地形に張っていれば、意外と良い獲物にも出会えます。ていうか、だいたいいつもそうですね、ダイツベの潜り方は。
この日の浅場ホットスポットは沈みテトラだったり、大きな自然の根もゴロゴロしてたり。いいカンジです。40くらいのイシダイも割と単体で何度か出現してくれました。ただ、寄せには反応を見せますが、射程内には収まりません。まだ難しい。
そんなカンジのことを呑気に繰り返しながら、水深6m前後のところをうろうろしていたんですね。
そしたらですね、ある時、ふと、メジナの群れが足元を通過していったんですね。そしたらその中に、ちょっとメジナとは違うシルエットを見たんですね。なんか長細いかんじです。
――まさか。
そう思い、すぐにその場でジャックナイフしました。
もちろん音を立てないよう、潜りながらスノーケル内の空気も全部吸います。
ジャックナイフ前に見た「群れの最終的な位置」はちょっと離れた根回りです。その地形だけを頭に思い描きながら、顎を引いて、魚の方を直接見ないよう、興味のないふりをしながら数m潜水。浮力より自重が効いて、自然と沈み始める水深になったところで顔を上げます。
――いました、スジアラです。
やや小ぶりですが、少しこちらに寄って、ホバリングをはじめました。
フィンキックはしないように、ジャックナイフの余力と自然落下のチカラにだけ身を任せ、ノーウエイトのゆっくりとした速度で魚に詰め寄ります。
しかし、そこはやはりスジアラ。
ちょっと近付いたあたりですぐに身をひるがえし、こちらと距離を取ります。スジアラは岩と岩の間を抜け、さらにその奥にある岩の前へと、かなり移動しました。
(さすがにムリか……)
そう思いながらも平常心を保ち、ゆっくりと後を追います。そしてダイツベが「岩と岩の間」に差し掛かったときです。スジアラが、ゆっくりと、コチラを振り返りました――。
――ドクン。
イケる、そう思った途端、緊張が全身に走りました。でも、それは良い緊張感のようにも思えました。
なんとなく、直感的に、次に方向転換されたら、もう二度とこちらを振り返ることはないだろうと思いました。最後のチャンス、この睨めっこで決められなければ、もうスジアラは突けないと、そう思いました。
同時に、スジアラがこれ以上近づかせてくれるだろうか、とも思いました。スジアラが振り返ったタイミングでは、ヤス先から2m以上離れています。しかし、僕のヤスの飛距離は精々1m。さらにハタ系の反射神経を考えると、飛距離ギリギリで撃つのは恐い。
――もっと近づかなければ。
そう思ったところまでは覚えています。
ここからあとは何かあまり覚えていません。どこのどのタイミングで銛を放ったのか、動画を見返してこんなだっけ? というカンジがしました。
動画を見返したところ、「睨めっこで限界まで寄り、最後の最後に我慢できなくなったスジアラが方向転換で身をひるがえした直後、僕の手から銛が飛んでいき、鋼の三又がスジアラの左カマから入って、右の頭の方から抜けています」。
その瞬間に「おさえなきゃ!」と思ったこと、そのときに初めて意識が戻ったことだけ覚えています(笑)
でも実際、押さえる必要もないほどにガッツリと貫通し、カエシも効いており、むしろ銛先を抜くのが一苦労でした(笑)
突いたサイズは「39.5cm」と、正直スジアラにしては小さいです。(一応、50オーバーをアクアヤスで仕留めるのが、僕の突き師としての目標)
でもあの駆け引きを制した、この興奮が僕にとって何よりも大きな獲物です。
スジアラがカッコよすぎて、いつにないほどの写真集になってしまいました(笑)
捌いてると、皮下の脂の強さに気付きました。
食べてみても、ハタ系らしい歯応えの良さと、ゼラチン質なのかトロっとした甘みを感じました。確かに、他のハタとは違うようなそんな気がします。
ただ、それはすっごい意識して食べてみての感想です。先入観はあると思います(笑)
でも、これだけの量を僕一人で食べたのですが、最後の一切れくらいになって、初めて気付くこともありました。それは、僕がこの量の刺身を「最後まで食べ飽きてなかったこと」です。
スジアラには、やはり、何かあるのでしょうか。
でも一番旨かったのは、翌日に作ったマース煮です。旨味がまじでつええ!!
最後にこの日の動画です。
ちなみにモーリィさんサイド。
これでモーリィさんは「アカ、キジ、オオモン、そしてクエ」を突いたことになりました。
ダイツベは「アカ、キジ、オオモン、スジアラ」なので、どちらが先にあと一種のハタを突くかも、今後の見どころとでも言いましょうか(笑) モーリィさんのおかげで、南九州盛り上がってきました!
切磋琢磨していきたいところです!
石鯛記録更新と素潜りテク
7がつ16にち、てんき はれ。
今日と昨日は、なんとあの男との合凸でした。
そう、関東に引っ越した「ヒロキ」くんが帰省し、そのついでに合凸しようと車を出してくれたのです! しかも、みなさん驚いて下さい。その出してくれた車っていうのがですね――。
ベンツっておい!
ヤバ過ぎるだろ(笑)
ということで、「今日たいした魚突けなかったら、ダイツベの動画タイトルは『ベンツで魚突き』で引っ張るしかないね」などと車中で笑いながら、二日連続の突行をしてきました。
――1日目。
初日は大隅半島側の内湾です。新規開拓です。どんな魚がいるかはメンバー中、誰にもわかりませんでしたが、錦江湾では主にオオモンとキジハタ(運が良ければ)がだいたい狙えるものと認識しています。
潜ってみた感想としては、魚よりも伊勢海老が多すぎてむしろ邪魔でした(笑) 禁漁期間だからってのもあるでしょうが、本当に多かったですね。密漁なんてする気は一切ないですが、生活に困ったら鹿児島の地で漁業権買って、普通に素潜り漁師になろうと、そう思いました。
あ、あと、そうそう。潜る前にパトカーに遭遇し、警察に話しかけられました。
「今からもぐるのー?」って。
着替え中で上半身裸でしたが、まあ、堂々と喋りますよね。条例に従った道具しか使ってませんし。警察の方も特に細かく道具を見てくることもありません。が、「地域の人から通報とかされたら、また話とかしにこないといけないんだけど……」などなど大変そうでした。お疲れ様です。
まあ、漁港の漁師さんに挨拶して、「ここに車停めてもいいですか?」的な会話はしてるので、変な勘違いはされてないと思います。
――はてさて、話は海の中へと戻ります。
奄美でゴムが殉職したために、今回からは「ホームセンターにある9mmくらいの細くて黄色いアメゴム」を使うことになりました。さらに、本土ももう海水温28~29度とかなり暑くなったので、ウエイトなしのラッシュガードスタイルです。いわばダイツベの、元祖軽装スタイルです。
人によっては、ラッシュガードでもウエイトつける方がいます。それはフィンキック少なく潜水するためですよね。確かに、フィンキックせずに自重だけで潜水できれば、海底での行動の余裕は大きくなります。
ただ、オーバーウエイトは危ないです。体型によってはつけた方がいい方ももちろんいます。でも基本的には正しいフォームさえ身につければ、ウエイトなくてもそれなりにはちゃんと潜れると思います。
コツとしては、「頭」を「重し」としてイメージすることでしょうか。
顎を引いて、「頭と体をまっすぐ垂直に一直線とするフォーム」をつくります。それだけで人間、ゆっくりではありますが沈めるもんです。こういう技術の向上を放棄して、すぐ道具に頼るってのは、あまり好きなスタンスではありませんね。
さらにダイツベのフィンは人よりも短いです。が、10m程度でしか勝負する気もなく、その程度の深度なら道具に頼り過ぎなくてもいいと考えてます。というのも、これくらいの深度ならば、沈むときにはフィンキックはほとんどしません。フィンキックして早く着底するより、自重だけでゆっくり時間かけて着底した時の方がむしろ息苦しさも少ないです。
ただ、顎を引くと、視線はどうしても後方になります。そうなると魚を見失ったりします。
着底してからゆっくり時間かけて探すつもりならこの方法のままでいいです。でも、そうでない場合は「ジャックナイフから数メートルの間」顎を引くだけでも全然違いますね。ていうか、だいたいはこの最初のジャックナイフの顎引きだけで、じゅうぶんだとは思います。
あ、あと、ですね。
ここでさらに情報を詰め込まさせていただきますと(長くなってすみません)、この「顎引きジャックナイフ」のときに組み合わせると、さらに効果的なテクがあるのですが、それは「コポコポ消し」というアクアライフのテルさんから聞いた技です。
顎を引くと、くわえているスノーケルの筒が垂直になると思うのですが、このとき筒の中に残っている空気が昇ってきまして、潜りながらに空気を吸うことができるのです。まあ、酸素量は微々たるものなのですが、この技の真の効果は、空気の漏れる音を消して、魚の警戒心を刺激しないことです!
とまあ、最近のダイツベはいろいろ考えながらやらさせてもらってます(^◇^)
そして今述べたようなことを意識して実践しましたところ、去年のダイツベなら潜水して海面に帰ってくるだいたいの時間が45秒くらいだったのに、ゆっくり潜水することを意識すると一分は余裕でもつようになりました。
この日も、岩礁の上に時間をかけて着底し、這うようにゆっくりと移動しながらオオモンハタを見つけ、そのまま正面から狙って一突きすることができました。
というか、黄色いアメゴムいいですね。
ダイツベ、握力ないくせに前は太いゴムをムリして使ってたんですよね。なので撃つときに手ブレが酷かったんだなーって、今のゴムに替えてみて気付きました。
ただ、この日は今年に入ってまだ一匹も突けてないキジハタちゃんにやっと会えたのですが、取り逃がしてしまいました(笑) まあまあ近付けてたんですが、身をよじって躱されやすい真上の角度で、あと一歩詰めて確信を得たかった距離感だったのですが、その前に岩に隠れられてしまいました。
――2日目。
今日は薩摩半島の南側で、仲間内でもベスト3に入るほどには評価の高いポイントに「ベンツで」連れてきてもらいました。
(※「ベンツで」←というのが重要です(笑))
ダイツベ、今朝から風邪気味でした。
なので深場の勝負は厳しいのですが、今日のこのポイントは、浅場勝負でも充分に良型が狙えるポイントです。ただし、非常に潮の流れが速い!!
ただ、「海水温が上がったからイシダイはいなくなったかな」と想像していました。想像していたんですけど、なんと一匹、小ぶりですが、おかずにはジャスト過ぎるのを発見し、一突き! ただ、尾っぽに情けない突き跡を残してしまいました(苦笑)
とりあえずは「よかったなー」と思っていたのですが、このすぐあと、続けざまにもっと大きい個体も発見してしまいました。
(なんや、全然おるやんけ!)
と、心の中で叫びながら、岩の上に着底し、寄せを試みます。
しかし、寄せには失敗。
ただ、少し離れた岩陰に隠れていくのが見えたので、息を整え、再度潜行。着底し、這うようにしてその岩陰まで近付きます。あえて離れたところから潜行するのは、息止め時間がちょっと長くなったからこそできる、少しでもプレッシャーを減らすための寄り方です。
二つの岩の間を通り、その岩陰を丹念に調べていくと、いました。黒くて大きなシルエットが。
そっと銛を伸ばし、ダイツベはその頭部目掛け、銛で一突き。
非常にいいところを突くことができました。穴の中で安心しきっていたのでしょう。じっとしていてくれて、狙い易かったです。サイズは44.5cmと、なんとダイツベの自己記録も更新です! やりました!
ただ本当はこの日、「40オーバーのアカハタを突く」ってのが当初の目標でした。でも結構探しても30後半すら見つけられませんでした。
なのでやむなく30クラスのアカハタを3匹ほど追加しました。
サイズが小さいので、せめて突き方にはこだわりまして。3匹ともヘッドショットを決められました。しかも、うち2匹は至近距離からの睨めっこで、正面から撃ってそのまま口の中に銛先が入りました(ただし、穴撃ち)。
ゴムを普通の安いやつに変えたら、むしろ初速と命中精度がよくなってしまったという(笑)
とにかく、このあと風邪は悪化しましたが、とても楽しい時をすごすことができました!
最後にこの日の動画です。
奄美で素潜り漁師生活⑤
7がつ12にち、てんき はれ。
はいさい。
全ての漁を終えて、任務は残すところ「揚げ場見学」のみとなりました。
寝過ごさないようにと、最後の夜はみんなで漁港の屋上に横になり、並んで寝ました。が、とても寒かったです(笑)
市場の見学の内容は、もうホント動画にした内容そのまんまです。魚種別に分けられ、数が多い場合はその中でも同サイズのもの同士で分けられていく、といった感じです。
威勢の良い声の中、次々とセリにかけられ、値段がつけられていきました。
――そして、いよいよ結果発表。
とりあえず単価(一キロあたりの値段)だけをここに書き並べましょうかね。高かったものから順に記しますので、参考までに覚えておいてくださいね。
1位、スジアラ
(1800~1500円)
2位、ハタ系
(1300円前後)
3位、マクブ(シロクラベラ)
(1200円以上)
4位、イシガキダイ
(900円前後)
5位、アバス(ハリセンボン・イシガキフグ)
(900円前後 ※ただし皮を剥いだ状態で)
6位、エラブチ(ブダイ系全般)
(500~350円)
7位、ヒメジ
(400円前後)
8位、ガラ(ギンガメアジ・カスミアジ系)
(150円前後)
9位、テングハギ
(150円前後)
10位、オキナメジナ
(100円前後)
というような結果でした。
奄美での研究成果なので、どうしても南方系の魚となり、みなさんの馴染みのある魚は少なかったかもしれません。でも、なかなかに面白い調査結果が出たとは、自分では割と満足しております(^◇^)
あと、突き方の傷の入り方とか、時期やら地域などで、値段は上下するかとは思います。あくまで参考程度に見てみてくださいね。
とにもかくにも、本当に楽しく、おまけにタメにもなった、非常に良い遠征ができました。正直、島での生活は大島軍さんに甘えっきりで、ほぼほぼ接待を受けているようなものでした。本当に感謝しかありません。
それでも、「また遊びに来て」とも言ってもらえ、さらに「他の人も連れてきて」とまでも言っていただけました。
もちろん、また行きたいと考えております。そのとき連れて行く相棒がいればもっと楽しいでしょうが、どうなることでしょうか。
何にしても、企画と撮影に協力してくれた龍郷漁港の皆様と、大島軍に心より感謝致します。本当にありがとうございました!!
最後に、この遠征集大成の動画です。
奄美で素潜り漁師生活④
7がつ11にち、てんき はれ。
ダイツベの奄美遠征での突行も、残すところあと一回となりました。
しかし、ダイツベの銛の原動力であるゴムは切れたままです。替えのゴムはありません。持ってきていません。もうこれを引き続き使うしかないのです。
でも、そんな銛でも戦える方法が一つだけあります。そう、それは奇しくも、これから予定している「ナイトダイブ」が、まさにその方法なのです。
実は夜の魚は眠っていて、動きが極端に鈍くなるとのことでして、それならば飛ばない銛でも充分に戦えるだろうということです。そういうことで、ダイツベは今の銛のまま、奄美最後の決戦に挑むことと相成りました。
ちなみにダイツベ、ナイトダイブは今回が初めてです。そう、初めての夜です。どきどきです。はたして天井のシミを数えている間に終わるのでしょうか。
――そしてとうとう、夜の海。
意外なほどにも、全く怖くはありませんでした。4人の仲間がそばにいるから。また、透明度がよくて、照らした場所がそのまま見えるから、と初めての夜としては最高の環境が揃っていました。
これからいったい、どんなお魚さんに会えるのでしょうか。
などと思っていたら、泳ぎ始めて即、大島軍しょうくんが良型のアカマダラハタとやらを仕留めました。
これには一気にダイツベの闘争心にも火が付きます!
しかし、しょうくんが獲ったような良型のハタは探してもなかなか見つかりません。それを知っていたからしょうくんは、見つけてすぐ水中カメラを回すこともなく、獲りに行ったとのことです。そう、彼はユーチューバーである前に立派な一人の漁師なのでした。
はてさてこのナイトダイブですが、ダイツベが難しいなと思った点の一つに「ライトで片手がふさがる」というのがあります。(手の甲に固定できるグローブをもってきていません)
ヤミハタという、全長20センチほどにしかならない小型のハタもいましたが、真上から狙いに行ったとき、どうも態勢が安定せず、その小さな頭部を狙い撃つことができませんでした。
でも、よくよく考えると、昼間と違って寝ている魚にはどこまでも近付けます。なのでわざわざ真上から行かずとも、いつものようにちゃんと着底して際まで寄って撃てばいいと気付きました。
そうして狙い撃ちしたナイトダイブ初の獲物が「ヒメジ」で、いわゆる「オジサン」で、奄美では「カタヤス」と呼ばれる魚でした。その後も初魚種「ツノマル(テングハギ)」などを仕留めながら、ダイツベの行軍は続きます。
そんな折、ふと前を行く大島軍せいやくんが、ライトで僕の顔を照らしてきました。
ナイトダイブにおける意思伝達の方法として、何か伝えたいことがあるときは相手の顔を照らす、というのを潜る前に聞いていました。どうやら僕に何か伝えたいことがあるようです。
せいやくんの方を注視していると、何やら彼は海底を照らし始めます。照らされた先には、死んだ色をしたサンゴが並んでいます。
「何かいる」ということでしょう。
ダイツベは潜行して、照らされた場所を真横から見てみます。するとどうでしょう。そこには、沖縄三大高級魚に数えられる「マクブ(シロクラベラ)」が、死んだサンゴの陰で休んでいるではありませんか。
どうやらせいやくんは、これを突けと言っているようです。
おいおい、マジかよ。仲間から譲られた獲物を外したとあっちゃあ、情けないの極みだぜ。と思いながらも、なんとか一突き。無事、せいやくんのアシストを無駄にはせずに済みました。
そうして長い夜のロングスイムはその後も続き、やがてGoproの電源も切れましたが、僕らは獲物を獲り続けました――。
奄美最後の漁を終え、海から上がったとき、星空を見上げたりなんかもしました。そしてそのときに、
「チームって、いいね」
とか、なんかとか、臭いことをせいやくんに言った気がします。
漁港に帰ったあとは、コラボ企画が決まってからずっとダイツベが言っていた「大島軍と上島軍がしたい」というきっての希望を叶えるべく、夜の漁港に「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」の声が響き渡りました。
それが僕の奄美、最後の夜でした。
この日の動画はこちらになります。
奄美で素潜り漁師生活③
7がつ11にち、てんき はれ。
奄美遠征三日目は、いよいよ本格的な漁に挑戦します。
今までダイツベのやってきた「魚突き」は「スピアフィッシング」であり、マリンスポーツです。ただ大島軍さんのそれはまさしく本当の「漁」なのであります。
何が違うのかというと、目的が違います。
スポーツの魚突きは、「決して大漁を目指すのではなく、むしろ一匹の自分の目標としている魚種・サイズを追い求めて競い合い、銛を握る」というのが本来のあるべき理想の姿。
そして漁師としての魚突きは、「とにかく獲物を効率よく獲る」ということ。そしてそれには、競い合うことより助け合うことが重要なのだとも。
三日目の漁からは、大島軍の「しょうくん」、さらにせいやくんの「二人目のお兄さん」も参戦し、計5人でおこなう本格的なものとなりました。
お兄さんの一人が「浮きをつけたクーラーボックス」を牽引し、それを中心に全員がかたまって行動します。全員で潜りながら、リーフの海岸線にそって数キロほど平行に泳ぎ続けるコースです。
(↑集団突行陣形のイメージ図)
ダイツベが普段やってる「合凸」、いわゆるスポーツとしての魚突きでは、まず全員が集まることはそうはないですよね。人が集まれば魚も逃げるし、何より見つけた獲物を横取りされたくはない。自分の見つけた秘密のポイントで魚を仕留め、仲間たちとの差をつける、というのも醍醐味の一つですしね。
でも「漁」で求めるのは「翌日の市場にどれだけの魚を供給できるか」のみです。個人の突果ではなく、水揚げ量なのです。だから全員で移動し続けながらおこない、そもそも一か所にとどまるこもなく、魚がいなくなればすぐに次々いきます。でも大人数なので、見落としも少ない。非常に効率のよい方法といえましょう。
ですが、ダイツベはその方法に全然慣れてなく、隊列を乱してばかりで皆をちょくちょく心配させてしまいました。ごめんなさい(笑)
――そんなこんなで、海の中。
リーフエントリーは非常に危険で、海の中に入ったと油断していたら、少し高い波がきてリーフの上に押し戻されてしまいました。身のこなしは軽い方なので、受け身はとれてケガなどはまったくしませんでしたが、リーフの割れ目に押し込まれ、挟まれでもしていたら、命にも関わっていたことでしょう。
リーフの波打ち際には魚がよく集まっていたのですが、そのことを考えると近づかない方がよいとのことです。
とはいえ海はやはり綺麗でした。海藻を食べているウミガメがいたので近づいてみましたが、ダイツベ史上最も至近距離なウミガメ映像となりました( *´艸`)いい画が撮れたー♪
そんなこんなで移動をしていると、リーフの割れ目にまたもやイシガキダイを発見!
昨日の漁ではユカタハタ、スジアラ(せいやくんの一人目のお兄さんが突いたヤツ)を揃えて市場に出していただいて、そのハタ系の高級さをリアルな値段で知ることが出来ました。と、すると、皆さんが次に気になるとしたら、石鯛系の値段でしょう。
初日にダイツベが突いたものは自分たちで消費してしまったので、その値段を調べるにはもう一匹突かなければなりません。ダイツベの企画的にも、ここは絶対に必要な魚種です。
ダイツベは、ゴムをめいっぱい引いて、銛を構えます。そしてさすがのイシガキダイ。好奇心強く、岩陰だからという油断もあってか、射程圏内までパタパタと入ってきました。すかさずそこを、モリで一突き! さらに銛の角度を下にやって、海底に押し付けながら抑えに入ります。
――ところが!
一瞬の間に、銛先からイシガキダイがするりと抜けて、バラしてしまいました。リーフの間の奥深くに逃げていくので、手前までしか追えず、結局取り逃がしてしまいました。
でも、諦めきれず、息を整えたのち、もう一度そのリーフを探ってみます。が、イシガキダイの姿はもうどこにもありませんでした。しかも、もっと酷いことが次の瞬間におこりました。
ぶち!!
と、大きな音を立てて、銛のゴムが切れてしまったのです。初日のこともあります。間違いなく、ゴムが劣化していました。貫通力が出てなかったのも、このためでしょうか。しかも今度は端っこが切れたような可愛いものではなく、ゴムが7:3の長さで分断されたような切れ方です。こんな遠征の大事な時に、痛恨の極みです。
とにかく雑な応急処置をしましたが、ゴムは短くなり、飛距離は格段に落ちてしまいました。30㌢くらいしか飛ばない。竹ヤス並みか、それ以下です。
ただ構えたときの、手元からの長さはあるので、射程自体はもともとのそれとそこまで変わりません。ダイツベはまだまだ諦めたりはしませんでした。
ただ、着底アプローチで平行に狙って撃つと、どうしても失速が酷く、魚に届きません。ここは狙いを定め辛くはなりますが、真上から狙って、重力を加算して銛の威力を上げる策に出ます。
ちなみにハタ系などは目が上に向いているため、真上からだと近づくのも狙うのも難しいですが、ブダイ系は意外と真上が死角になりやすいです。そして、奄美では「エラブチ」と言って、ブダイはむしろポピュラーな魚種になります。
ということでダイツベの昼の部は、ブダイを狙って、ゴムの切れた銛の「急降下アプローチ」で苦戦奮戦。なんとか頑張りはしました。
漁を終えて漁港に戻りましたが、仲間が計2匹のイシガキダイを仕留めてくれていました。これはホントにありがたい。企画として本当に救われました。個人の突果より、チームとしての、企画のための成果。なんだかダイツベにも、個人技だけではない、楽しさというか、大事なものに気付かされた気がしました。
最後にこの日の動画です。