石鯛記録更新と素潜りテク
7がつ16にち、てんき はれ。
今日と昨日は、なんとあの男との合凸でした。
そう、関東に引っ越した「ヒロキ」くんが帰省し、そのついでに合凸しようと車を出してくれたのです! しかも、みなさん驚いて下さい。その出してくれた車っていうのがですね――。
ベンツっておい!
ヤバ過ぎるだろ(笑)
ということで、「今日たいした魚突けなかったら、ダイツベの動画タイトルは『ベンツで魚突き』で引っ張るしかないね」などと車中で笑いながら、二日連続の突行をしてきました。
――1日目。
初日は大隅半島側の内湾です。新規開拓です。どんな魚がいるかはメンバー中、誰にもわかりませんでしたが、錦江湾では主にオオモンとキジハタ(運が良ければ)がだいたい狙えるものと認識しています。
潜ってみた感想としては、魚よりも伊勢海老が多すぎてむしろ邪魔でした(笑) 禁漁期間だからってのもあるでしょうが、本当に多かったですね。密漁なんてする気は一切ないですが、生活に困ったら鹿児島の地で漁業権買って、普通に素潜り漁師になろうと、そう思いました。
あ、あと、そうそう。潜る前にパトカーに遭遇し、警察に話しかけられました。
「今からもぐるのー?」って。
着替え中で上半身裸でしたが、まあ、堂々と喋りますよね。条例に従った道具しか使ってませんし。警察の方も特に細かく道具を見てくることもありません。が、「地域の人から通報とかされたら、また話とかしにこないといけないんだけど……」などなど大変そうでした。お疲れ様です。
まあ、漁港の漁師さんに挨拶して、「ここに車停めてもいいですか?」的な会話はしてるので、変な勘違いはされてないと思います。
――はてさて、話は海の中へと戻ります。
奄美でゴムが殉職したために、今回からは「ホームセンターにある9mmくらいの細くて黄色いアメゴム」を使うことになりました。さらに、本土ももう海水温28~29度とかなり暑くなったので、ウエイトなしのラッシュガードスタイルです。いわばダイツベの、元祖軽装スタイルです。
人によっては、ラッシュガードでもウエイトつける方がいます。それはフィンキック少なく潜水するためですよね。確かに、フィンキックせずに自重だけで潜水できれば、海底での行動の余裕は大きくなります。
ただ、オーバーウエイトは危ないです。体型によってはつけた方がいい方ももちろんいます。でも基本的には正しいフォームさえ身につければ、ウエイトなくてもそれなりにはちゃんと潜れると思います。
コツとしては、「頭」を「重し」としてイメージすることでしょうか。
顎を引いて、「頭と体をまっすぐ垂直に一直線とするフォーム」をつくります。それだけで人間、ゆっくりではありますが沈めるもんです。こういう技術の向上を放棄して、すぐ道具に頼るってのは、あまり好きなスタンスではありませんね。
さらにダイツベのフィンは人よりも短いです。が、10m程度でしか勝負する気もなく、その程度の深度なら道具に頼り過ぎなくてもいいと考えてます。というのも、これくらいの深度ならば、沈むときにはフィンキックはほとんどしません。フィンキックして早く着底するより、自重だけでゆっくり時間かけて着底した時の方がむしろ息苦しさも少ないです。
ただ、顎を引くと、視線はどうしても後方になります。そうなると魚を見失ったりします。
着底してからゆっくり時間かけて探すつもりならこの方法のままでいいです。でも、そうでない場合は「ジャックナイフから数メートルの間」顎を引くだけでも全然違いますね。ていうか、だいたいはこの最初のジャックナイフの顎引きだけで、じゅうぶんだとは思います。
あ、あと、ですね。
ここでさらに情報を詰め込まさせていただきますと(長くなってすみません)、この「顎引きジャックナイフ」のときに組み合わせると、さらに効果的なテクがあるのですが、それは「コポコポ消し」というアクアライフのテルさんから聞いた技です。
顎を引くと、くわえているスノーケルの筒が垂直になると思うのですが、このとき筒の中に残っている空気が昇ってきまして、潜りながらに空気を吸うことができるのです。まあ、酸素量は微々たるものなのですが、この技の真の効果は、空気の漏れる音を消して、魚の警戒心を刺激しないことです!
とまあ、最近のダイツベはいろいろ考えながらやらさせてもらってます(^◇^)
そして今述べたようなことを意識して実践しましたところ、去年のダイツベなら潜水して海面に帰ってくるだいたいの時間が45秒くらいだったのに、ゆっくり潜水することを意識すると一分は余裕でもつようになりました。
この日も、岩礁の上に時間をかけて着底し、這うようにゆっくりと移動しながらオオモンハタを見つけ、そのまま正面から狙って一突きすることができました。
というか、黄色いアメゴムいいですね。
ダイツベ、握力ないくせに前は太いゴムをムリして使ってたんですよね。なので撃つときに手ブレが酷かったんだなーって、今のゴムに替えてみて気付きました。
ただ、この日は今年に入ってまだ一匹も突けてないキジハタちゃんにやっと会えたのですが、取り逃がしてしまいました(笑) まあまあ近付けてたんですが、身をよじって躱されやすい真上の角度で、あと一歩詰めて確信を得たかった距離感だったのですが、その前に岩に隠れられてしまいました。
――2日目。
今日は薩摩半島の南側で、仲間内でもベスト3に入るほどには評価の高いポイントに「ベンツで」連れてきてもらいました。
(※「ベンツで」←というのが重要です(笑))
ダイツベ、今朝から風邪気味でした。
なので深場の勝負は厳しいのですが、今日のこのポイントは、浅場勝負でも充分に良型が狙えるポイントです。ただし、非常に潮の流れが速い!!
ただ、「海水温が上がったからイシダイはいなくなったかな」と想像していました。想像していたんですけど、なんと一匹、小ぶりですが、おかずにはジャスト過ぎるのを発見し、一突き! ただ、尾っぽに情けない突き跡を残してしまいました(苦笑)
とりあえずは「よかったなー」と思っていたのですが、このすぐあと、続けざまにもっと大きい個体も発見してしまいました。
(なんや、全然おるやんけ!)
と、心の中で叫びながら、岩の上に着底し、寄せを試みます。
しかし、寄せには失敗。
ただ、少し離れた岩陰に隠れていくのが見えたので、息を整え、再度潜行。着底し、這うようにしてその岩陰まで近付きます。あえて離れたところから潜行するのは、息止め時間がちょっと長くなったからこそできる、少しでもプレッシャーを減らすための寄り方です。
二つの岩の間を通り、その岩陰を丹念に調べていくと、いました。黒くて大きなシルエットが。
そっと銛を伸ばし、ダイツベはその頭部目掛け、銛で一突き。
非常にいいところを突くことができました。穴の中で安心しきっていたのでしょう。じっとしていてくれて、狙い易かったです。サイズは44.5cmと、なんとダイツベの自己記録も更新です! やりました!
ただ本当はこの日、「40オーバーのアカハタを突く」ってのが当初の目標でした。でも結構探しても30後半すら見つけられませんでした。
なのでやむなく30クラスのアカハタを3匹ほど追加しました。
サイズが小さいので、せめて突き方にはこだわりまして。3匹ともヘッドショットを決められました。しかも、うち2匹は至近距離からの睨めっこで、正面から撃ってそのまま口の中に銛先が入りました(ただし、穴撃ち)。
ゴムを普通の安いやつに変えたら、むしろ初速と命中精度がよくなってしまったという(笑)
とにかく、このあと風邪は悪化しましたが、とても楽しい時をすごすことができました!
最後にこの日の動画です。
奄美で素潜り漁師生活⑤
7がつ12にち、てんき はれ。
はいさい。
全ての漁を終えて、任務は残すところ「揚げ場見学」のみとなりました。
寝過ごさないようにと、最後の夜はみんなで漁港の屋上に横になり、並んで寝ました。が、とても寒かったです(笑)
市場の見学の内容は、もうホント動画にした内容そのまんまです。魚種別に分けられ、数が多い場合はその中でも同サイズのもの同士で分けられていく、といった感じです。
威勢の良い声の中、次々とセリにかけられ、値段がつけられていきました。
――そして、いよいよ結果発表。
とりあえず単価(一キロあたりの値段)だけをここに書き並べましょうかね。高かったものから順に記しますので、参考までに覚えておいてくださいね。
1位、スジアラ
(1800~1500円)
2位、ハタ系
(1300円前後)
3位、マクブ(シロクラベラ)
(1200円以上)
4位、イシガキダイ
(900円前後)
5位、アバス(ハリセンボン・イシガキフグ)
(900円前後 ※ただし皮を剥いだ状態で)
6位、エラブチ(ブダイ系全般)
(500~350円)
7位、ヒメジ
(400円前後)
8位、ガラ(ギンガメアジ・カスミアジ系)
(150円前後)
9位、テングハギ
(150円前後)
10位、オキナメジナ
(100円前後)
というような結果でした。
奄美での研究成果なので、どうしても南方系の魚となり、みなさんの馴染みのある魚は少なかったかもしれません。でも、なかなかに面白い調査結果が出たとは、自分では割と満足しております(^◇^)
あと、突き方の傷の入り方とか、時期やら地域などで、値段は上下するかとは思います。あくまで参考程度に見てみてくださいね。
とにもかくにも、本当に楽しく、おまけにタメにもなった、非常に良い遠征ができました。正直、島での生活は大島軍さんに甘えっきりで、ほぼほぼ接待を受けているようなものでした。本当に感謝しかありません。
それでも、「また遊びに来て」とも言ってもらえ、さらに「他の人も連れてきて」とまでも言っていただけました。
もちろん、また行きたいと考えております。そのとき連れて行く相棒がいればもっと楽しいでしょうが、どうなることでしょうか。
何にしても、企画と撮影に協力してくれた龍郷漁港の皆様と、大島軍に心より感謝致します。本当にありがとうございました!!
最後に、この遠征集大成の動画です。
奄美で素潜り漁師生活④
7がつ11にち、てんき はれ。
ダイツベの奄美遠征での突行も、残すところあと一回となりました。
しかし、ダイツベの銛の原動力であるゴムは切れたままです。替えのゴムはありません。持ってきていません。もうこれを引き続き使うしかないのです。
でも、そんな銛でも戦える方法が一つだけあります。そう、それは奇しくも、これから予定している「ナイトダイブ」が、まさにその方法なのです。
実は夜の魚は眠っていて、動きが極端に鈍くなるとのことでして、それならば飛ばない銛でも充分に戦えるだろうということです。そういうことで、ダイツベは今の銛のまま、奄美最後の決戦に挑むことと相成りました。
ちなみにダイツベ、ナイトダイブは今回が初めてです。そう、初めての夜です。どきどきです。はたして天井のシミを数えている間に終わるのでしょうか。
――そしてとうとう、夜の海。
意外なほどにも、全く怖くはありませんでした。4人の仲間がそばにいるから。また、透明度がよくて、照らした場所がそのまま見えるから、と初めての夜としては最高の環境が揃っていました。
これからいったい、どんなお魚さんに会えるのでしょうか。
などと思っていたら、泳ぎ始めて即、大島軍しょうくんが良型のアカマダラハタとやらを仕留めました。
これには一気にダイツベの闘争心にも火が付きます!
しかし、しょうくんが獲ったような良型のハタは探してもなかなか見つかりません。それを知っていたからしょうくんは、見つけてすぐ水中カメラを回すこともなく、獲りに行ったとのことです。そう、彼はユーチューバーである前に立派な一人の漁師なのでした。
はてさてこのナイトダイブですが、ダイツベが難しいなと思った点の一つに「ライトで片手がふさがる」というのがあります。(手の甲に固定できるグローブをもってきていません)
ヤミハタという、全長20センチほどにしかならない小型のハタもいましたが、真上から狙いに行ったとき、どうも態勢が安定せず、その小さな頭部を狙い撃つことができませんでした。
でも、よくよく考えると、昼間と違って寝ている魚にはどこまでも近付けます。なのでわざわざ真上から行かずとも、いつものようにちゃんと着底して際まで寄って撃てばいいと気付きました。
そうして狙い撃ちしたナイトダイブ初の獲物が「ヒメジ」で、いわゆる「オジサン」で、奄美では「カタヤス」と呼ばれる魚でした。その後も初魚種「ツノマル(テングハギ)」などを仕留めながら、ダイツベの行軍は続きます。
そんな折、ふと前を行く大島軍せいやくんが、ライトで僕の顔を照らしてきました。
ナイトダイブにおける意思伝達の方法として、何か伝えたいことがあるときは相手の顔を照らす、というのを潜る前に聞いていました。どうやら僕に何か伝えたいことがあるようです。
せいやくんの方を注視していると、何やら彼は海底を照らし始めます。照らされた先には、死んだ色をしたサンゴが並んでいます。
「何かいる」ということでしょう。
ダイツベは潜行して、照らされた場所を真横から見てみます。するとどうでしょう。そこには、沖縄三大高級魚に数えられる「マクブ(シロクラベラ)」が、死んだサンゴの陰で休んでいるではありませんか。
どうやらせいやくんは、これを突けと言っているようです。
おいおい、マジかよ。仲間から譲られた獲物を外したとあっちゃあ、情けないの極みだぜ。と思いながらも、なんとか一突き。無事、せいやくんのアシストを無駄にはせずに済みました。
そうして長い夜のロングスイムはその後も続き、やがてGoproの電源も切れましたが、僕らは獲物を獲り続けました――。
奄美最後の漁を終え、海から上がったとき、星空を見上げたりなんかもしました。そしてそのときに、
「チームって、いいね」
とか、なんかとか、臭いことをせいやくんに言った気がします。
漁港に帰ったあとは、コラボ企画が決まってからずっとダイツベが言っていた「大島軍と上島軍がしたい」というきっての希望を叶えるべく、夜の漁港に「押すなよ、押すなよ、絶対に押すなよ」の声が響き渡りました。
それが僕の奄美、最後の夜でした。
この日の動画はこちらになります。
奄美で素潜り漁師生活③
7がつ11にち、てんき はれ。
奄美遠征三日目は、いよいよ本格的な漁に挑戦します。
今までダイツベのやってきた「魚突き」は「スピアフィッシング」であり、マリンスポーツです。ただ大島軍さんのそれはまさしく本当の「漁」なのであります。
何が違うのかというと、目的が違います。
スポーツの魚突きは、「決して大漁を目指すのではなく、むしろ一匹の自分の目標としている魚種・サイズを追い求めて競い合い、銛を握る」というのが本来のあるべき理想の姿。
そして漁師としての魚突きは、「とにかく獲物を効率よく獲る」ということ。そしてそれには、競い合うことより助け合うことが重要なのだとも。
三日目の漁からは、大島軍の「しょうくん」、さらにせいやくんの「二人目のお兄さん」も参戦し、計5人でおこなう本格的なものとなりました。
お兄さんの一人が「浮きをつけたクーラーボックス」を牽引し、それを中心に全員がかたまって行動します。全員で潜りながら、リーフの海岸線にそって数キロほど平行に泳ぎ続けるコースです。
(↑集団突行陣形のイメージ図)
ダイツベが普段やってる「合凸」、いわゆるスポーツとしての魚突きでは、まず全員が集まることはそうはないですよね。人が集まれば魚も逃げるし、何より見つけた獲物を横取りされたくはない。自分の見つけた秘密のポイントで魚を仕留め、仲間たちとの差をつける、というのも醍醐味の一つですしね。
でも「漁」で求めるのは「翌日の市場にどれだけの魚を供給できるか」のみです。個人の突果ではなく、水揚げ量なのです。だから全員で移動し続けながらおこない、そもそも一か所にとどまるこもなく、魚がいなくなればすぐに次々いきます。でも大人数なので、見落としも少ない。非常に効率のよい方法といえましょう。
ですが、ダイツベはその方法に全然慣れてなく、隊列を乱してばかりで皆をちょくちょく心配させてしまいました。ごめんなさい(笑)
――そんなこんなで、海の中。
リーフエントリーは非常に危険で、海の中に入ったと油断していたら、少し高い波がきてリーフの上に押し戻されてしまいました。身のこなしは軽い方なので、受け身はとれてケガなどはまったくしませんでしたが、リーフの割れ目に押し込まれ、挟まれでもしていたら、命にも関わっていたことでしょう。
リーフの波打ち際には魚がよく集まっていたのですが、そのことを考えると近づかない方がよいとのことです。
とはいえ海はやはり綺麗でした。海藻を食べているウミガメがいたので近づいてみましたが、ダイツベ史上最も至近距離なウミガメ映像となりました( *´艸`)いい画が撮れたー♪
そんなこんなで移動をしていると、リーフの割れ目にまたもやイシガキダイを発見!
昨日の漁ではユカタハタ、スジアラ(せいやくんの一人目のお兄さんが突いたヤツ)を揃えて市場に出していただいて、そのハタ系の高級さをリアルな値段で知ることが出来ました。と、すると、皆さんが次に気になるとしたら、石鯛系の値段でしょう。
初日にダイツベが突いたものは自分たちで消費してしまったので、その値段を調べるにはもう一匹突かなければなりません。ダイツベの企画的にも、ここは絶対に必要な魚種です。
ダイツベは、ゴムをめいっぱい引いて、銛を構えます。そしてさすがのイシガキダイ。好奇心強く、岩陰だからという油断もあってか、射程圏内までパタパタと入ってきました。すかさずそこを、モリで一突き! さらに銛の角度を下にやって、海底に押し付けながら抑えに入ります。
――ところが!
一瞬の間に、銛先からイシガキダイがするりと抜けて、バラしてしまいました。リーフの間の奥深くに逃げていくので、手前までしか追えず、結局取り逃がしてしまいました。
でも、諦めきれず、息を整えたのち、もう一度そのリーフを探ってみます。が、イシガキダイの姿はもうどこにもありませんでした。しかも、もっと酷いことが次の瞬間におこりました。
ぶち!!
と、大きな音を立てて、銛のゴムが切れてしまったのです。初日のこともあります。間違いなく、ゴムが劣化していました。貫通力が出てなかったのも、このためでしょうか。しかも今度は端っこが切れたような可愛いものではなく、ゴムが7:3の長さで分断されたような切れ方です。こんな遠征の大事な時に、痛恨の極みです。
とにかく雑な応急処置をしましたが、ゴムは短くなり、飛距離は格段に落ちてしまいました。30㌢くらいしか飛ばない。竹ヤス並みか、それ以下です。
ただ構えたときの、手元からの長さはあるので、射程自体はもともとのそれとそこまで変わりません。ダイツベはまだまだ諦めたりはしませんでした。
ただ、着底アプローチで平行に狙って撃つと、どうしても失速が酷く、魚に届きません。ここは狙いを定め辛くはなりますが、真上から狙って、重力を加算して銛の威力を上げる策に出ます。
ちなみにハタ系などは目が上に向いているため、真上からだと近づくのも狙うのも難しいですが、ブダイ系は意外と真上が死角になりやすいです。そして、奄美では「エラブチ」と言って、ブダイはむしろポピュラーな魚種になります。
ということでダイツベの昼の部は、ブダイを狙って、ゴムの切れた銛の「急降下アプローチ」で苦戦奮戦。なんとか頑張りはしました。
漁を終えて漁港に戻りましたが、仲間が計2匹のイシガキダイを仕留めてくれていました。これはホントにありがたい。企画として本当に救われました。個人の突果より、チームとしての、企画のための成果。なんだかダイツベにも、個人技だけではない、楽しさというか、大事なものに気付かされた気がしました。
最後にこの日の動画です。
奄美で素潜り漁師生活②
7がつ10にち、てんき はれ。
奄美遠征の二日目はのんびりとした朝から始まりました。
昨夜の漁港パーティでは、奄美のご当地飲み物「みき」の試飲をさせていただきましたが、今朝は「とうきびジュース」なるものもごちそうになりました。
これを煮出して個体にしたものが「黒糖」になるそうです。
飲み味は甘過ぎずにさっぱりとしていて、ベタな言葉になりますが、すごく自然を感じられる味でした。売店のおばちゃんは僕のことを「内地から来た者」と聞いただけで、「東京からねー」と思い込んでたみたいなので、「東京から来ました」と夢を壊さないように役に徹しておきました(笑)
ちなみにNHKの取材を受けたほどの老舗だそうで、近々放送されるそうですよ。
飲んだ後は「自然観察の森」へと連れ出されました。海だけでなく山も楽しまなくっちゃ、ということです。
その森では無料ガイドさんのおチカラもあり、奄美の天然記念物「イシカワガエル」が見られたり、途中偶然にも遭遇したリュウキュウアオヘビとも交戦したり、ドラゴントリデという展望台から奄美北部を見渡すことが出来たり、想像以上に多くのイベントが発生しました。
ダイツベの動画は「魚突き」しか基本的に人気ありませんが、自分が見返したときに面白く感じたのは意外にもこの「山歩き」の動画だったりします。
藤岡探検隊とか爬虫類が好きな人は、ぜひ上の動画も見てみてね(^◇^)
はてさて、そんなこんなで一行は、拠点である「龍郷漁港」へと帰ってきました。
ダイツベの奄美遠征はただの観光ではありません。実はちゃんとした目的や目標というものがあります。それは以下の通りです。
・レディを魚突きでもてなす
・本土にいないハタを突く
・初めてのナイトダイブに挑戦する
・突いた魚を市場に出して値段を調べる
Twitterでアンケートもとりましたが、一番人気のある企画「レディをもてなす」的な任務は初日に充分以上に達成したといえるでしょう。(アップしたこのシリーズの中でも、その動画の人気が一番高いという複雑な気持ち)
そして今日の目標は「本土にいないハタ」、そう奄美に来たからには、その土地ならではの高級魚を突きたいってものです。
ダイツベと大島軍のせいやくん、そしてそのお兄ちゃんたち、で漁港で船のペンキを塗るお手伝いをしたり、飛び込んだり、カヌーして遊んだり、いろいろやったのちにいよいよ「本日の突行」へと繰り出します。
漁港のそばにも魚がいるということで、この日はそのまま漁港エントリーです。
――どきどき、るんるん、海の中。
漁港があるのは内湾で、奄美にしては透明度低く、海水温も高めで、異常発生していたプランクトンに刺されまくりながらもダイツベは頑張りました。
初めて潜るポイントを探索しているうちに、とある「根」へとたどり着きます。
水深にして6~7mといったところでしょうか。ダイツベとしてはちょうどいいくらいの水深でしたが、その根には数匹の「ユカタハタ」が住み着いていました。
二つの岩礁が、まるで城塞のように形を成していて、アナコンダみたいに馬鹿デカい「ドクウツボ」もその根に住み着いています。
ダイツベは、そのユカタハタを獲るべくして潜ります。
ところがユカタハタは、その城塞のような岩の陰に上手く隠れたりして、ダイツベを奔走します。さらに横からドクウツボが出てきてダイツベを威嚇してきたりと、なかなか緊張感のあるやりとりが続きます。
そうこうしてダイツベが手をこまねいていると、大島軍のせいやくんが現れ、一番でかいユカタハタをその合法水中銃をもってして捕えてしまいました。
「進撃の巨人」でいうところのサシャやコニーに獲物を奪われたときのジャンの気持ちが、今のダイツベには非常によくわかりました(笑)
しかし、獲物を獲るのに作法なんて必要ない。素直にせいやくんに「おめでとう」と伝え、サイズは小さくなろうがユカタハタはまだいるし、ダイツベもそれに続きます。
そしてその奮闘の末に、ようやくダイツベも「初魚種」にして「高級魚」である「ユカタハタ」をこのアクアヤスにて捕えました!
今日はこのあとナイトダイブにも繰り出す予定でしたが、急きょ、漁港にて漁協の方や漁師の方とのBBQをするイベントに遭遇し、だったらお酒を飲みたいからとナイトダイブだけ延期にしました(笑)
全部が全部プラン通りにはいかないまでも、目標は達成してるし、むしろプラン以上に楽しいことができている。
それもこれも全て、大島軍さんのお力のおかげだなあ、とダイツベは思うのでした。
最後にこの日の動画です。
奄美で素潜り漁師生活①
7がつ9にち、てんき はれ。
2017年、夏。
今年のDAITUBEの目玉企画「奄美遠征」。
ことの発端は、ダイツベのSNSからはじまりました。
以前、ダイツベがFBに「石鯛の姿造り」の写真をあげた際に、奄美に引っ越した鹿児島の先輩Bgirlが「た、べ、た、い!」とコメントをくれたのです。
奄美大島と聞けば、突き師ならば心動かされない者はいないほどの場所。まして、今年のダイツベのテーマは「鹿児島の離島旅」。遅かれ早かれ、個人的にも必ず行くこととなる場所です。どうせ行くなら、目的も多い方がきっと楽しいことでしょう。
ダイツベは「ごちそうしにいきますよ」と、返事をし、計画を立てはじめました。
また、今の奄美には、とある集団もいました。
そう、「大島軍」です。
奄美大島で漁業権をもちながらユーチューバーをしている、鹿児島の新勢力。前々から面白そうな人たちだと目をつけていたダイツベは、早速アポをとってみます。
YOUTUBEとSNS上で、外堀を埋める程度なやりとりを続けていくうちにコラボしませんか、ということになりました。
かくしてダイツベは、船のチケットを予約し、鹿児島新港へと向かいます。期待とプレッシャーと、有り余ってはち切れんばかりの冒険心を胸に、それぞれの思惑が渦巻く奄美大島へと、船はダイツベを乗せて出航したのです。
島に着いてからは「大島軍」のお迎えに甘え、出会って早速「海」へと向かいました。
奄美という海域は、沖縄とほとんど変わらないらしい。透明度は高く、本土とは全く違う地形と魚種、なにより透明度が良すぎて魚に近寄れないのだとも言いいます。だから本場の素潜り漁師はみんな、手銛どころか水中銃しか使わないのです。
しかし、そんな海でもダイツベはいつもの「アクアヤス(2mリーチ×三又土佐銛先)」のみを使うことを心に決めていました。はたして、その意地は吉と出るか、凶と出るか。
―― 一本目。
あまりの美しさに、ダイツベは感嘆の声を上げまくりました。
リーフという地形は、本土ではまずお目にかかれない。シュノーケリングだけでもじゅうぶんに楽しく、銛を置いて、手ぶらでリーフの間を泳いでくぐり抜けてみました。すると後ろから「大島軍のせいやくん」が、ダイツベの置きっぱにしていた銛を持ってきてくれます。なんか、ごめん、ありがとう。
初日の予定は、まず魚を突くことと、そのあとにBBQをすること。そして、そのBBQに先輩を呼んで、最後にはシュノーケリングして遊ぼうという計画です。なんにしても魚を突かねば、何も始まらない。それもできれば、先輩の食べたがっていたイシダイがいい。
ただ、奄美ではイシダイはほぼいないらしい。近似種のイシガキダイにダイツベは標的を絞ります。
しかし、一本目のポイントではお目当ての魚はまったく見つかりませんでした。というか、知っている魚すらほとんどいないのである。奄美と本土では、それほどにも環境に違いがあるようでした。
それでもとりあえず勘で、食用になりそうな魚を突いてみます。が、どうもパッとしない。おまけに銛のゴムが破損して、やむなくエギジッド。ただ、それでも海だけはべらぼうに美しかったのでした。
―― 二本目。
「先輩との約束をはたしたい」
ダイツベはその思いだけでジャックナイフを繰り返します。
二本目のポイントでは、本土では見たことがないようなハタが豊富にいました。ただ、どれも小さい。一匹、馴染みの深いアカハタにも遭遇できましたが、これも小さい。
奄美だと、素潜りできるような浅場では、なかなか大きなアカハタはいないということらしい。ブダイや、稀に通りすがるスジアラを狙う。そんな両極端なステージのように感じました。
そんな折、ふと、リーフの割れ目を覗いたときでした。
ダイツベの目に、ずっと会いたかった魚のシルエットが飛び込んできたのです。そう、イシガキダイであります。
岩陰に隠れているからか、本土のそれと全く変わらないような動き方をしています。好奇心強めで、こちらに近寄り、泳ぎながら横目で見てくるのです。
すかさずダイツベは、その横っ面めがけて銛を撃ちこみました。
獲ったサイズは42cmと、まさかダイツベの自己記録まで更新。突くべきときに、突くべきものを、素晴らしい突き方で捕獲できたのです! まさかそんな上手くいくとは自分でも思っていませんでした。
「やったー!!約束の魚が突けた!」と大喜びのダイツベは、早速その報告をしようとしました。
――ところが、です。
そう、先輩に報告しようとしたら、「食べたいって言ったっけ?覚えてない」と、言われたのです。お疲れ様です。そうです。BboyDAIです。
ま、女の子からすれば魚の種類なんて、正直どうでもいいですよね(笑)
とりあえず「男の意地を通せた美談」に「綺麗なオチ」がついた結果となりまして。その後も、BBQとシュノーケリングパーティは無事に事が運び、予定通り?予定以上?に奄美初日のスタートダッジュがきれたのでした。
最後にこの日の動画です。
ついでに先輩と初めてバトルしたときの動画がこちらです。踊ってる先輩もめっちゃカッコイイっすね。
さらにさらに、DAITUBEでは見られない映像が「大島軍」の方でも見られます。
お次は、この日の夜のBBQ。ダイツベでは見られない貴重映像ですぞ。
モーリィさんとオオモン狩り
6月29日、てんき あらし のち はれ。
今日は、from 宮崎の「自作手銛師」、またの名を「一級カラモグラー」、さらにまたの名を「突き界の本田圭佑」、さらにさらにまたの名を「月末アイドル」、などなど数多くの異名を持つ男、「モーリィ」さんの初鹿児島遠征に案内人として同行しました。
約束の時間より早く起きたボクは、約束の時間より早く到着したモーリィさんの車に乗せてもらって、どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、海へと向かいます。
しかし、天気予報が変わり、なにやら不穏な空気が漂っておりました。――というのも、前日の天気予報では今日が「梅雨明け」のような感じだったのに、朝になって1日中「雷雨」の予報になっていたのです。
ポイント近くまで来て、カミナリごろごろ。
「今日は温泉ツアーかな・・・」
モーリィさんが残念そうにぼやきます。はるばる来ていただいたのに、これはあまりに辛すぎます。
「ポイントだけでも一応見てみますか?」
――そう、「ポイントだけでも」。
このボクの提案は、オトナの銛突きにおける「先っぽだけ」とほぼ同意語です。案の定、海に到着するやいなや、ボクたちはウエットに着替え始めます。そう、そこまで行ったらもう我慢ができるワケないんです。
「先っぽだけって、言ったじゃん」
海の声が聞こえてくるようでした。
しかし、そんなことは関係ない。カミナリやんだし、遠い空に晴れ間が見えてるし、天気予報を信じない信じたくない、そんなボクたちはエントリー地点へ向かいます。
――いよいよ、海の中。
モーリィさんの「超きれーい!」の声に、なんだか役目を終えた気分になりました。
はてさて、鹿児島に来ていただいたからには、宮崎ではあまりいないであろう「ハタ系」を突いていただきたい。そして今日のこのポイントは「オオモンハタ」の大量出没ポイントなのであります。
しかしながら、今年に入ってこのポイントに潜るのは、実はボクも初めて。
他のポイントにもハタ系が見られ始めたから、そろそろシーズンとは思うのですが、どうでしょう。エントリー際の浅場には、ほとんどその姿が見られません。代わりにサンノジやらの魚影がとても濃いです。本格シーズンなら、浅場でもじゃんじゃんエンカウントできていたのですが――。
僕らはおのずと沖へと向かいます。
僕は岬の岩礁に沿うように岸沿いを、モーリィさんは湾内からだだっ広い大海原へ。
途中、イシダイを発見し、寄せようと試みて着底した岩の上から、なにやら興味をそそられる岩穴を発見しました。小さなイシガキダイが、その岩の隙間へと消えていくのです。
(これは良い穴なのかもしれない)
そう思った僕は、すぐに覗きに行きました。正解でした。
穴の中はたいして広くもないのに、良型のイシダイやら、シロホシフエダイ、オオモンハタなど、素晴らしい魚種の群れが雑魚に混じりながら休んでいます。
穴は狭く、奥までやや遠いです。が、ボクはイシダイに向けて銛を放ちます。当たりはしましたが、刺さりが甘く、すぐに抜けてしまいました。バカなことをしました。当たった直後に銛をさらに押し込んで、奥の岩を使ってさらに深く刺すべきでした。
代わりに小ぶりなオオモンハタからヘッドショットを一本獲って、エギジット。・・・というのも、腰にぶら下げてあるはずのストリンガーをロストしてしまっていたのです(笑) やれやれ。突くたびにこれでは、かなり手間です。
でもまた海へとゴー!
モーリィさんに合流してみます。
そして驚かされました。すでに数匹のオオモンを仕留めておられたのです! そして何より「キジハタ」まで一匹! すごい!
ここのポイントではオオモン以外のハタ系を、なにげに僕は見たことがなかったんですね。いやー、お見事です。話によると、空潜りしていたら結構見たそうです。アカハタまで居たというので、ほんとに驚きです。
「アカハタをばらしてしまいましたー」と悔しそうに語るモーリィさん。
オオモン、キジよりアカハタは小ぶりなぶん、反射神経も鋭いですからねー。
刺激をもらった僕は、モーリィさんにならってちゃんと空潜りしてみます。「魚がいそう」と地形を予測した、岬先端のやや深場を探ります。いました! さすがちょっと深いと、大きいのがいます。
最初にボクは、魚に興味のないふりをしながら岩礁の上に着底、こちらに興味と警戒を半々に示してくるオオモンの横目に、銛先を向けます。そしてジリ、ジリ、と間合いを詰めます。
(射程はいった!)
そう思った一瞬、オオモンが身をひるがえし、ボクからまた距離をとります。
「逃げる背中に撃つか」、撃ちかけたボクの手からあからさまに迷いが出てしまいました。が、その逃げ方にはあまり警戒されてるふうな印象はなかったので、(これはまた振り返る)と思い、撃つ手を止めます。
案の定、オオモンはすぐにこちらを振り返りました。
そしてまたボクは、ジリ、ジリ、下から低くゆっくり間合いを詰めなおします。そして、その大きな横顔をモリでひと突き! さらにフィンキックで押し込み、背後の岩礁に押さえつけながら、しっかり両手で確保! 基本を徹底した、良い突き方ができました。
大きい方のオオモンは立派に47.5cmありました。が、記録更新ではありません。イシガキダイは35cmと食べ頃サイズ。
ちなみに捕獲できた3匹は全部ヘッドショットです。やはり頭を突くことができれば、ばらしにくくなり、捕獲率もぐっと上がりますね。身も傷つけませんし。
最後にこの日の動画です。
そして、モーリィさんサイド。