奄美で素潜り漁師生活②
7がつ10にち、てんき はれ。
奄美遠征の二日目はのんびりとした朝から始まりました。
昨夜の漁港パーティでは、奄美のご当地飲み物「みき」の試飲をさせていただきましたが、今朝は「とうきびジュース」なるものもごちそうになりました。
これを煮出して個体にしたものが「黒糖」になるそうです。
飲み味は甘過ぎずにさっぱりとしていて、ベタな言葉になりますが、すごく自然を感じられる味でした。売店のおばちゃんは僕のことを「内地から来た者」と聞いただけで、「東京からねー」と思い込んでたみたいなので、「東京から来ました」と夢を壊さないように役に徹しておきました(笑)
ちなみにNHKの取材を受けたほどの老舗だそうで、近々放送されるそうですよ。
飲んだ後は「自然観察の森」へと連れ出されました。海だけでなく山も楽しまなくっちゃ、ということです。
その森では無料ガイドさんのおチカラもあり、奄美の天然記念物「イシカワガエル」が見られたり、途中偶然にも遭遇したリュウキュウアオヘビとも交戦したり、ドラゴントリデという展望台から奄美北部を見渡すことが出来たり、想像以上に多くのイベントが発生しました。
ダイツベの動画は「魚突き」しか基本的に人気ありませんが、自分が見返したときに面白く感じたのは意外にもこの「山歩き」の動画だったりします。
藤岡探検隊とか爬虫類が好きな人は、ぜひ上の動画も見てみてね(^◇^)
はてさて、そんなこんなで一行は、拠点である「龍郷漁港」へと帰ってきました。
ダイツベの奄美遠征はただの観光ではありません。実はちゃんとした目的や目標というものがあります。それは以下の通りです。
・レディを魚突きでもてなす
・本土にいないハタを突く
・初めてのナイトダイブに挑戦する
・突いた魚を市場に出して値段を調べる
Twitterでアンケートもとりましたが、一番人気のある企画「レディをもてなす」的な任務は初日に充分以上に達成したといえるでしょう。(アップしたこのシリーズの中でも、その動画の人気が一番高いという複雑な気持ち)
そして今日の目標は「本土にいないハタ」、そう奄美に来たからには、その土地ならではの高級魚を突きたいってものです。
ダイツベと大島軍のせいやくん、そしてそのお兄ちゃんたち、で漁港で船のペンキを塗るお手伝いをしたり、飛び込んだり、カヌーして遊んだり、いろいろやったのちにいよいよ「本日の突行」へと繰り出します。
漁港のそばにも魚がいるということで、この日はそのまま漁港エントリーです。
――どきどき、るんるん、海の中。
漁港があるのは内湾で、奄美にしては透明度低く、海水温も高めで、異常発生していたプランクトンに刺されまくりながらもダイツベは頑張りました。
初めて潜るポイントを探索しているうちに、とある「根」へとたどり着きます。
水深にして6~7mといったところでしょうか。ダイツベとしてはちょうどいいくらいの水深でしたが、その根には数匹の「ユカタハタ」が住み着いていました。
二つの岩礁が、まるで城塞のように形を成していて、アナコンダみたいに馬鹿デカい「ドクウツボ」もその根に住み着いています。
ダイツベは、そのユカタハタを獲るべくして潜ります。
ところがユカタハタは、その城塞のような岩の陰に上手く隠れたりして、ダイツベを奔走します。さらに横からドクウツボが出てきてダイツベを威嚇してきたりと、なかなか緊張感のあるやりとりが続きます。
そうこうしてダイツベが手をこまねいていると、大島軍のせいやくんが現れ、一番でかいユカタハタをその合法水中銃をもってして捕えてしまいました。
「進撃の巨人」でいうところのサシャやコニーに獲物を奪われたときのジャンの気持ちが、今のダイツベには非常によくわかりました(笑)
しかし、獲物を獲るのに作法なんて必要ない。素直にせいやくんに「おめでとう」と伝え、サイズは小さくなろうがユカタハタはまだいるし、ダイツベもそれに続きます。
そしてその奮闘の末に、ようやくダイツベも「初魚種」にして「高級魚」である「ユカタハタ」をこのアクアヤスにて捕えました!
今日はこのあとナイトダイブにも繰り出す予定でしたが、急きょ、漁港にて漁協の方や漁師の方とのBBQをするイベントに遭遇し、だったらお酒を飲みたいからとナイトダイブだけ延期にしました(笑)
全部が全部プラン通りにはいかないまでも、目標は達成してるし、むしろプラン以上に楽しいことができている。
それもこれも全て、大島軍さんのお力のおかげだなあ、とダイツベは思うのでした。
最後にこの日の動画です。
奄美で素潜り漁師生活①
7がつ9にち、てんき はれ。
2017年、夏。
今年のDAITUBEの目玉企画「奄美遠征」。
ことの発端は、ダイツベのSNSからはじまりました。
以前、ダイツベがFBに「石鯛の姿造り」の写真をあげた際に、奄美に引っ越した鹿児島の先輩Bgirlが「た、べ、た、い!」とコメントをくれたのです。
奄美大島と聞けば、突き師ならば心動かされない者はいないほどの場所。まして、今年のダイツベのテーマは「鹿児島の離島旅」。遅かれ早かれ、個人的にも必ず行くこととなる場所です。どうせ行くなら、目的も多い方がきっと楽しいことでしょう。
ダイツベは「ごちそうしにいきますよ」と、返事をし、計画を立てはじめました。
また、今の奄美には、とある集団もいました。
そう、「大島軍」です。
奄美大島で漁業権をもちながらユーチューバーをしている、鹿児島の新勢力。前々から面白そうな人たちだと目をつけていたダイツベは、早速アポをとってみます。
YOUTUBEとSNS上で、外堀を埋める程度なやりとりを続けていくうちにコラボしませんか、ということになりました。
かくしてダイツベは、船のチケットを予約し、鹿児島新港へと向かいます。期待とプレッシャーと、有り余ってはち切れんばかりの冒険心を胸に、それぞれの思惑が渦巻く奄美大島へと、船はダイツベを乗せて出航したのです。
島に着いてからは「大島軍」のお迎えに甘え、出会って早速「海」へと向かいました。
奄美という海域は、沖縄とほとんど変わらないらしい。透明度は高く、本土とは全く違う地形と魚種、なにより透明度が良すぎて魚に近寄れないのだとも言いいます。だから本場の素潜り漁師はみんな、手銛どころか水中銃しか使わないのです。
しかし、そんな海でもダイツベはいつもの「アクアヤス(2mリーチ×三又土佐銛先)」のみを使うことを心に決めていました。はたして、その意地は吉と出るか、凶と出るか。
―― 一本目。
あまりの美しさに、ダイツベは感嘆の声を上げまくりました。
リーフという地形は、本土ではまずお目にかかれない。シュノーケリングだけでもじゅうぶんに楽しく、銛を置いて、手ぶらでリーフの間を泳いでくぐり抜けてみました。すると後ろから「大島軍のせいやくん」が、ダイツベの置きっぱにしていた銛を持ってきてくれます。なんか、ごめん、ありがとう。
初日の予定は、まず魚を突くことと、そのあとにBBQをすること。そして、そのBBQに先輩を呼んで、最後にはシュノーケリングして遊ぼうという計画です。なんにしても魚を突かねば、何も始まらない。それもできれば、先輩の食べたがっていたイシダイがいい。
ただ、奄美ではイシダイはほぼいないらしい。近似種のイシガキダイにダイツベは標的を絞ります。
しかし、一本目のポイントではお目当ての魚はまったく見つかりませんでした。というか、知っている魚すらほとんどいないのである。奄美と本土では、それほどにも環境に違いがあるようでした。
それでもとりあえず勘で、食用になりそうな魚を突いてみます。が、どうもパッとしない。おまけに銛のゴムが破損して、やむなくエギジッド。ただ、それでも海だけはべらぼうに美しかったのでした。
―― 二本目。
「先輩との約束をはたしたい」
ダイツベはその思いだけでジャックナイフを繰り返します。
二本目のポイントでは、本土では見たことがないようなハタが豊富にいました。ただ、どれも小さい。一匹、馴染みの深いアカハタにも遭遇できましたが、これも小さい。
奄美だと、素潜りできるような浅場では、なかなか大きなアカハタはいないということらしい。ブダイや、稀に通りすがるスジアラを狙う。そんな両極端なステージのように感じました。
そんな折、ふと、リーフの割れ目を覗いたときでした。
ダイツベの目に、ずっと会いたかった魚のシルエットが飛び込んできたのです。そう、イシガキダイであります。
岩陰に隠れているからか、本土のそれと全く変わらないような動き方をしています。好奇心強めで、こちらに近寄り、泳ぎながら横目で見てくるのです。
すかさずダイツベは、その横っ面めがけて銛を撃ちこみました。
獲ったサイズは42cmと、まさかダイツベの自己記録まで更新。突くべきときに、突くべきものを、素晴らしい突き方で捕獲できたのです! まさかそんな上手くいくとは自分でも思っていませんでした。
「やったー!!約束の魚が突けた!」と大喜びのダイツベは、早速その報告をしようとしました。
――ところが、です。
そう、先輩に報告しようとしたら、「食べたいって言ったっけ?覚えてない」と、言われたのです。お疲れ様です。そうです。BboyDAIです。
ま、女の子からすれば魚の種類なんて、正直どうでもいいですよね(笑)
とりあえず「男の意地を通せた美談」に「綺麗なオチ」がついた結果となりまして。その後も、BBQとシュノーケリングパーティは無事に事が運び、予定通り?予定以上?に奄美初日のスタートダッジュがきれたのでした。
最後にこの日の動画です。
ついでに先輩と初めてバトルしたときの動画がこちらです。踊ってる先輩もめっちゃカッコイイっすね。
さらにさらに、DAITUBEでは見られない映像が「大島軍」の方でも見られます。
お次は、この日の夜のBBQ。ダイツベでは見られない貴重映像ですぞ。
モーリィさんとオオモン狩り
6月29日、てんき あらし のち はれ。
今日は、from 宮崎の「自作手銛師」、またの名を「一級カラモグラー」、さらにまたの名を「突き界の本田圭佑」、さらにさらにまたの名を「月末アイドル」、などなど数多くの異名を持つ男、「モーリィ」さんの初鹿児島遠征に案内人として同行しました。
約束の時間より早く起きたボクは、約束の時間より早く到着したモーリィさんの車に乗せてもらって、どんぶらこっこ、どんぶらこっこ、海へと向かいます。
しかし、天気予報が変わり、なにやら不穏な空気が漂っておりました。――というのも、前日の天気予報では今日が「梅雨明け」のような感じだったのに、朝になって1日中「雷雨」の予報になっていたのです。
ポイント近くまで来て、カミナリごろごろ。
「今日は温泉ツアーかな・・・」
モーリィさんが残念そうにぼやきます。はるばる来ていただいたのに、これはあまりに辛すぎます。
「ポイントだけでも一応見てみますか?」
――そう、「ポイントだけでも」。
このボクの提案は、オトナの銛突きにおける「先っぽだけ」とほぼ同意語です。案の定、海に到着するやいなや、ボクたちはウエットに着替え始めます。そう、そこまで行ったらもう我慢ができるワケないんです。
「先っぽだけって、言ったじゃん」
海の声が聞こえてくるようでした。
しかし、そんなことは関係ない。カミナリやんだし、遠い空に晴れ間が見えてるし、天気予報を信じない信じたくない、そんなボクたちはエントリー地点へ向かいます。
――いよいよ、海の中。
モーリィさんの「超きれーい!」の声に、なんだか役目を終えた気分になりました。
はてさて、鹿児島に来ていただいたからには、宮崎ではあまりいないであろう「ハタ系」を突いていただきたい。そして今日のこのポイントは「オオモンハタ」の大量出没ポイントなのであります。
しかしながら、今年に入ってこのポイントに潜るのは、実はボクも初めて。
他のポイントにもハタ系が見られ始めたから、そろそろシーズンとは思うのですが、どうでしょう。エントリー際の浅場には、ほとんどその姿が見られません。代わりにサンノジやらの魚影がとても濃いです。本格シーズンなら、浅場でもじゃんじゃんエンカウントできていたのですが――。
僕らはおのずと沖へと向かいます。
僕は岬の岩礁に沿うように岸沿いを、モーリィさんは湾内からだだっ広い大海原へ。
途中、イシダイを発見し、寄せようと試みて着底した岩の上から、なにやら興味をそそられる岩穴を発見しました。小さなイシガキダイが、その岩の隙間へと消えていくのです。
(これは良い穴なのかもしれない)
そう思った僕は、すぐに覗きに行きました。正解でした。
穴の中はたいして広くもないのに、良型のイシダイやら、シロホシフエダイ、オオモンハタなど、素晴らしい魚種の群れが雑魚に混じりながら休んでいます。
穴は狭く、奥までやや遠いです。が、ボクはイシダイに向けて銛を放ちます。当たりはしましたが、刺さりが甘く、すぐに抜けてしまいました。バカなことをしました。当たった直後に銛をさらに押し込んで、奥の岩を使ってさらに深く刺すべきでした。
代わりに小ぶりなオオモンハタからヘッドショットを一本獲って、エギジット。・・・というのも、腰にぶら下げてあるはずのストリンガーをロストしてしまっていたのです(笑) やれやれ。突くたびにこれでは、かなり手間です。
でもまた海へとゴー!
モーリィさんに合流してみます。
そして驚かされました。すでに数匹のオオモンを仕留めておられたのです! そして何より「キジハタ」まで一匹! すごい!
ここのポイントではオオモン以外のハタ系を、なにげに僕は見たことがなかったんですね。いやー、お見事です。話によると、空潜りしていたら結構見たそうです。アカハタまで居たというので、ほんとに驚きです。
「アカハタをばらしてしまいましたー」と悔しそうに語るモーリィさん。
オオモン、キジよりアカハタは小ぶりなぶん、反射神経も鋭いですからねー。
刺激をもらった僕は、モーリィさんにならってちゃんと空潜りしてみます。「魚がいそう」と地形を予測した、岬先端のやや深場を探ります。いました! さすがちょっと深いと、大きいのがいます。
最初にボクは、魚に興味のないふりをしながら岩礁の上に着底、こちらに興味と警戒を半々に示してくるオオモンの横目に、銛先を向けます。そしてジリ、ジリ、と間合いを詰めます。
(射程はいった!)
そう思った一瞬、オオモンが身をひるがえし、ボクからまた距離をとります。
「逃げる背中に撃つか」、撃ちかけたボクの手からあからさまに迷いが出てしまいました。が、その逃げ方にはあまり警戒されてるふうな印象はなかったので、(これはまた振り返る)と思い、撃つ手を止めます。
案の定、オオモンはすぐにこちらを振り返りました。
そしてまたボクは、ジリ、ジリ、下から低くゆっくり間合いを詰めなおします。そして、その大きな横顔をモリでひと突き! さらにフィンキックで押し込み、背後の岩礁に押さえつけながら、しっかり両手で確保! 基本を徹底した、良い突き方ができました。
大きい方のオオモンは立派に47.5cmありました。が、記録更新ではありません。イシガキダイは35cmと食べ頃サイズ。
ちなみに捕獲できた3匹は全部ヘッドショットです。やはり頭を突くことができれば、ばらしにくくなり、捕獲率もぐっと上がりますね。身も傷つけませんし。
最後にこの日の動画です。
そして、モーリィさんサイド。
巨大カンパチ!貫け、土佐銛先!
6がつ25にち、てんき あめ ときどき くもり。
今日は何の予定もない日曜日。
昨日、酷く大雨が降ったので、「どうせ海に行ったって――」というふうに午前中をおとなしく過ごす。しかし、昼前になるにつれ、「やっぱもったいなくね? 時間あるのにもったいなくね? 梅雨時期の海がどうなのか知ることも必要じゃない?」とか何とか考え始める。
気付いたら桜島行のフェリーにのってました。
思えば、鹿児島に来た最初の2014年は、ほぼほぼ桜島でしか潜ったことがありませんでした。移動手段が自転車で、市内から270円15分の移動で行ける場所として、桜島はすごくアクセスがよかったのです。
そして、その最初の年に、40cmのキジハタを仕留め、その他にも30程度のキジハタ、オオモンをぼちぼち突いてきた好おかずポイントが桜島なのです。2015年の最後には、かなり大型のキジハタに遭遇するも、確実に仕留められる間合いにまでは入れず、取り逃がしたこともありました。
ところがそれ以降、2016年から全くハタ系を見なくなってしまった、そんな桜島。
家から近いということもあり、ハタ系さえまた大量に出没してくれるなら、日帰りで一人でも気軽に通えるホームを取り戻せる――という思いから、再調査を決めました。
フェリーから降り、自転車を走らせながらポイントを探し、とある入り江に辿りつきました。陸から見たところ、濁りは感じられません。ボクは、ここで勝負することを決めました。
――いよいよ、海の中。
透明度は許容範囲でした。
桜島のレギュラー魚種「イラ(綺麗でちょっと美味しいブダイ系)」が群れています。そしてすぐに小型のオオモンハタを発見! 狙うには至らないサイズでしたが、ついにハタ系が出てきていることを嬉しく思いました。
そしてまたぷらぷら移動をしていると、なにやら股下を、異様な大きな影が通り抜けていきました。
「おや?」と、思い、ボクは潜行します。
着底するやいなや、その大きな影は寄ってきました。かなりでかい魚です。銛を撃ちましたが、少し遠かったようで、届く前に失速し、難なく避けられてしまいました。
しかし、すぐに再挑戦。
二度目は大群でやってきました。一瞬、銛を動かしたときに驚かせてしまいました。が、諦めずに寄せを試みます。静かに小さく地面にへばりつき、左手の指で石を擦ります。
――来ました!
大群が目の前を押し寄せ、横目で僕を見てきます。何匹いるのでしょう? わかりませんが、その中の一匹、僕への興味を強くもった個体がいました。なんと嬉しいことに、こちらへわずかに身を乗り出してきてくれたのです!
もちろん、そんなチャンスを逃すはずがありません。僕は銛を撃ちこみました。
どすん!
銛先は、その大型魚の頬をとらえました。が、凄い力で泳ぎ続けます。こういうときは決して引き合ってはいけない。むしろ自分から前に泳ぎ、銛が抜ける前に岩に押し付け、押さえこまないといけません。
ボクは必死にフィンキックをします。が、この魚の泳力凄まじく、とてもじゃないが押さえつけられません。魚の進行方向に合わせて一緒に回転するのがやっとでした。そしてくるくるしながら手銛を徐々に手繰り寄せていき、最終的に、その巨大魚のカマに手を突っ込むに至りました。
獲ったのはカンパチ70cm。
自己記録を大幅に更新しました!!
海面から顔を上げたときにはつい雄たけびを上げてしまったものです(笑)
最後にこの日の動画です。
鹿児島の魚突きチーム「海人団」②
6がつ 18にち、てんき はれ。
「もう一本、いきませんか?」
――その言葉は、朝8時から昼の1時までの5時間を、血眼になって魚を探し続け、それでもほとんど見つからなくて、やっとの思いで一匹突いて、とりあえずようやく海から上がってきたという「クレイジージャパニーズ」の口から出た言葉でした。
そう、僕は不完全燃焼だったのです。
ここのところ過去最新の突行で、連続して40前後のイシダイを突くことができており、自分にしては正直調子が良すぎるように感じていました。
――ゆえに、今日はさすがにコケるんじゃないか。
潜る前からそんな思いがありました。
実際に今日、良型のオオモンハタを突くことはできたものの、その「突き方」はとてもお粗末なものであったし、その前の小ぶりなアカハタ、オオモンとのやりとりも情けないものでした。
「自分にしては調子がいい」
その言葉が一度で終われば、それは本当に「調子がよかった」ということです。
しかし、その言葉がもし継続して出たならば――。
一度や二度でなく、何度も何度も続いた時、人はそれを「成長」と呼ぶのです。
今が大事な時期であることをクレイジーな頭でもよくわかっていたのだと思います。
そして、現段階の突果とその過程を見て、「自分にしては――」と言えるほどプライドの低い男でもありませんでした。
「もう一本、いきませんか?」
バディであるダイスケさんもさすがに即答はできません。
なぜならフロートが壊れていたからです(笑) 魚を突いても沈んでしまって移動すらままならないからと、頭を悩ませています。だが、それでも了承してくれました。
2ラウンド目は短期決戦。
とにかく「まともな突き方」をして上がりたい、というのが一番に胸の中にありました。
しかし、なかなかハタ系は見つからない。いや、一匹も見当たらない。
不意に現れたイシダイに対し、寄せを試みます。
岩の上に着底すると、ほぼ全てのイシダイは寄せに反応してくれました。前半同様、アプローチに関してだけは悪くないと言えそう。ただし、すべてがすべて2m銛の射程に入ってくれるほど、甘くはないのです。
一度、そのイシダイの距離は間違いなく射程内でした。すかさず撃った銛が意図しない方向に飛んでいくのをみて、「何かがおかしい」と思いました。構え方か、狙い方か。
銛を視線とまったく同じ直線上に構えることは、まず不可能です。ゴムを引いたとき、どうしても柄の後ろ側が体にあたってしまう。なのでどうしても銛は「右手から真ん中へと斜めに向く」形となる。
魚に当てるには、銛先の角度を距離感で判断してつけなければなりません。
ということは、「魚」よりむしろ「銛先」に意識を集中させて見なければならないのじゃないか。
――という思いつきをした、だいちゃん26歳の夏でした。
しかし、思いついても試す相手がいませんでした。
調子の悪い耳抜きで深場に行く気にもなれず、入り組んだ地形を探しては、その浅いところをふらふらと漂うだけなのですから、そりゃあチャンスも少ないですわな。
正直疲れました。
広いポイントで移動がほとんどですし、前半にGOPROトラブルでばたばたしたし、それでいて6時間以上海に入ってるのですからムリもありません。
潮時か、とエギジットポイントに向かい始めたときでした。
眼下に、鮮やかなオレンジの影が見えました。
――アカハタです。
それもなかなかに良型で、間違いなく今日見た中では一番です。
ただ、僕に気付くなり一目散に移動します。
(これは警戒心つよいやつだ・・・)
そう思い、追いかけてはダメだと思いました。が、逃すつもりもありませんでした。
遠目で追跡し、どこか穴にでも隠れて警戒心が回復するのを待とう、そう判断して、やや遠くからストーキングします。
そして、その作戦はすぐに功を奏しました。
それほど遠くない場所にあった、「軍艦」のような長い形の岩下に、そのアカハタは逃げ込みました。
『軍艦岩の攻防戦』
僕は息を整えます。
突きたい魚を目の前にした途端、疲れを感じなくなるから不思議です。
潜行し、アカハタの逃げ込んだ陰に顔を突っ込みます。いました。ただ、想像以上に目の前にいましたので、びっくりさせてしまい、穴の奥に逃げられてしまいました。
ただし、この岩陰はなかなか広く、出入り口も多い。奥に逃げたといいましたが、その先にも穴があり、反対側に回れば全然覗けそうです。早速移動し、また覗き込みます。もぐらたたきというか、黒ひげ危機一髪というか、なんだかそういうゲームのようです。
とにかく僕は、穴をのぞき、移動されたらそちらに回る――というのを突ける角度をとれるまで繰り返しました。
そしてついに、覗いた穴の先、アカハタの横っ腹が見えました。しかも顔は岩で隠れており、間違いなく、気付かれずに突けます。
しかし、僕は銛を引っ込めました。
顔が隠れているので「ヘッドショット」が狙えないのです。
いったん浮上した僕は、岩の反対側、つまりアカハタの正面へと回り込みます。
最後の戦いのときです。
決着をつけるべく、深呼吸を繰り返し、静かに体を丸め込み、潜行を開始。
海底ではプランクトンだか何だかわからない粒が舞っており、岩穴が余計に見えづらくなっています。それでも目を凝らし、顔を近づけターゲットを探します。
いました。
「アカハタや
岩の陰より
と、つい心の一句がもれてしまいます。俳句の国、愛媛県民ということがばれてしまいそうですが、なにはともあれ勝負のときです。
アカハタが真正面よりこちらを見据えてきているので、僕は「右手に構えた銛を内側へと斜めに向ける形」でアカハタの頬を狙って構えます。まるでボクサーがフックを打つようなイメージです。
ただ、ここは狭い岩の穴の中。見え辛く、角度もつけづらい。
でもチャンスはこの一度きり。やるしかありません。
僕はまず、第一に「銛先」を見ました。そしてその延長線上にぼんやりと見える「魚」のシルエットを見ます。
「今銛を放てば、こう飛ぶ」
イメージがあたまに浮かんだとき、銛を放ちました。
確かな手ごたえがありました。
よし! と思い、銛を引きますが、何か違和感のある重みが銛先から伝わってきます。
(これは単に引っ張るとバラすかも・・・)
時間をかけて狙ったぶん、すでに少々息苦しいところではありましたが、ここはちゃんと確保しなければ、と手を穴に突っ込みます。
ガンガゼが穴の中に仕掛けられている中、注意して銛の先をまさぐり、そしてついにアカハタの頭をこの手に掴みました!
サイズは36cmと、過去の記録サイズと同じでした。
しかし嬉しかったのはその突き跡。頬を通って反対の頬から抜けています。
本来なら「頬から斜めに入って反対側のカマへ抜ける軌道」で撃ったのですが、「左頬から右頬へと綺麗な真横」に抜けています。魚も咄嗟に身体をひるがえしたということがわかりますね。しかし、それがかえって全く身を傷つけない結果となりました。
僕はこれで何とか気分揚々、エギジッドすることができました。
――ところが、です。
ボクのあと、海から戻ってきたダイスケさんの魚を見て、僕は悲鳴を上げました。
そうスジアラです(笑)
この時期に仕留めるとは大したものです! さすがウチのデビルスナイパー!
ということで、まさかとは思いましたが、本格的な梅雨も始まる前のこの時期に三種のハタを二人の力で突き、揃えることができました。
そして最後に、この日の動画です。
鹿児島の魚突きチーム「海人団」①
6がつ 18にち、てんき はれ。
今日は総勢5名による、巨大合同魚突きでした。
参加メンバーは肥薩の魚突きチーム「海人団」の構成員、とその新メンバー。というのもワタクシ、ついに海人団に入団にすることにあいなりました。(そもそも、もともと団員みたいに一緒に活動してましたけど(笑))
海人団とは、「Suimenjijii(YOUTUBEの【Gopro3魚突き】の作者)」さん率いる魚突き集団です。
今日の合凸に参加したのは、そのリーダー「水面爺(Suimenjijii)」さんと、海人団随一の手練れの者「喇叭潜人(らっぱせんにん)」さん、そして団の切り込み隊長「ダイスケ」さんに、その相棒である新メンバーのワタクシ「だいつーべ」、と同じく新メンバーにして初顔合わせの「くまもん」さん、でした。
喇叭潜人さんだけ遅れてくるということでしたが、他の4人は朝8時にはポイント入りし、この魚突きイベントをスタートさせました。
――いよいよ海の中。
正直、今日の海はまだだいぶ濁っていました。とはいえ瀬戸内育ちの僕からすると、鹿児島の濁りは濁りでない(笑) 空潜りを繰り返したり、浅場だけどいい地形のところをグルグルします。
前半戦のターゲットはハタ系。というかアカハタ、です。
過去に一度潜ったことのあるポイントでしたので、一か所だけなのですが、お気に入りのマイスポットってのがあります。それは「必ずアカハタの群れている岩穴」で、まずはそこを目指してロングスイムします。
30分ぐらいの移動で、道中には良型のイシダイに一匹だけ遭遇しましたが、出会い頭に逃げるタイプで勝負には持ち込めませんでした。前回、ダブルスナイパーで潜った海より魚影も薄いといった印象です。
(ここにはいてくれよー)
願うように、僕はジャックナイフします。
体を垂直にし、鼻をつまみ、耳抜きしながら潜行を続ける。が、今日は全然耳が抜けない。アカハタの居ついているその岩穴は水深11mほどのところにあります。ボクにはちょっとしんどいです。
徐々に近づいてくると、岩の上に早速一匹を発見。見張りの者でしょうか、僕に気付くと岩の上から降りて、穴に逃げ込もうとします。
本日の第一発見アカハタではありましたが、ちょっと小さい気がしたので、目を穴の方にやります。最初のと同じか、少し小さいくらいのが一匹こちらを見ながらホバリングしています。これもスルー。
目線を右にやります。三匹目がいました。岩陰に半分くらい隠れて、こちらを見つめています。やや大きいように見えました。狙いどころか、そう思い銛先を向けます。角度も距離も文句なしです。僕は銛を放ちました。
――が、ミス。
避けられたというか、撃つ前に気取られて逃げられたというか。少し力み過ぎたかな、というカンジです。
しかし、このミスショットで警戒されたのか、岩穴からいなくなってしまいました。そして他の場所もぐるぐるしますが、最初にスルーしたほどのサイズすら、全然アカハタが見つかりません。
ポイントを移動していると、斜面のように海底に落ち込む岩礁の際に、別のハタのシルエットを発見。この海域では珍しい、オオモンハタです。
アカハタとはまた違った動きをするハタでして、僕としてはややニガテなハタです。というのも、警戒するとこちらから「隠れる」アカハタに対し、オオモンは警戒するとこちらから「離れる」のです。2m銛の僕からすると、距離をとられる逃げ方をされると大ダメージです。
(※ちなみに4m銛のデビルスナイパーはオオモンが得意で、アカハタが苦手といいます。射程があるぶん距離には強く、反対に隠れられて角度を取られると大ダメージなのですね)
とまあ、そんな訳で。慎重に、岩を這うようにして、僕はオオモンに近づきます。サイズは決して大きくありませんが、まだ春濁りも抜けきらないような初夏の海です。贅沢は言ってられません。それなりに近づき、魚の頭部を狙って、銛を放ちます。
――が、ミス。
避けられたというより、狙いを外して、頭部スレスレのところを飛んで行ったカンジ。
このあともう一匹のオオモンを見ますが、こちらを振り返りもせずに逃げていきました。そしてそのタイミングでGOPROエラー。いったん海から上がるハメに。貴重な時間をさらにロスし、なにやら悪い流れです。
その後リスタートしてアカハタ2匹、オオモン1匹と対峙しましたが、ミスショットが続きます。
(そろそろ突かないと――)
焦る気持ちの僕の目の前に、その魚は突然に現れました。
ヒメジやアオブーの群れる中、岩礁の際ではためくハタ系の大きな尾ひれ。でかい。間違いなくでかい。
それは上層から、海底にあった岩の隣に降りていきました。好都合です。僕とその魚の対角線上に岩が入るよう水面移動し、静かにジャックナイフ、死角に入ったルートでアプローチします。
が、そいつはすぐに岩から顔を出してきました。まだ距離は遠いです。
ちょっと進み、ヤス先1mといったところで、そいつと目が合いました。届きはするかもしれませんが、間違いなく避けられる距離です。
僕は我慢を続けます。10センチ距離を縮めるごとに、心臓が僕の胸を強く打ちます。
と、ここでついに魚の方が違和感に体をよじらせました。正面を向いていた顔が真横を向き、的が大きくなりました。
しかし、僕の反応は少し遅れてしまい、魚は逃げ出そうと尾ひれを大きく動かします。
(――ええい、ままよ!)
ヘッドショットは捨てました。
ど真ん中にぶち込みました。
僕の撃った銛の軌道の先、ダッシュしたあとの魚のうしろ半身がありました。
ずどん! バタバタバタバター!!!
突きたくない箇所ワースト3に入る部位を突いたため、暴れ方が半端じゃない。銛先を海底に押し付けながら必死になって取り込みます。
突いた魚はオオモンハタ43.5cm。
記録サイズではありませんでしたが、今年では初のオオモンハタです。前半の悪い流れを払拭する素晴らしい獲物に、僕はそっと胸をなでおろしました。
その後、午後から予定があるために帰るという水面爺さんとすれ違い、ダイスケさんや、遅れてやってきた喇叭潜人さんと合流。みんなも良いヤツ突いてました。
エギジット。
朝8時からやって、もう昼の1時になっていました。かなり探さないと魚もいないような状況でしたからムリもないです。
みんな突いた魚を見せ合います。
ダイスケさんはイシダイにフエフキダイ、小さめのアカハタ。
喇叭潜人さんはイシダイを2本。
うん、みんなさすがです!
そしてみんなが「オオモンいたのー?」と、驚いてくれます。どうやらオオモンハタを見つけたのは参加メンバー中、僕一人だけだったようです。気分がいいですね。
みんなで並んで海に向かい、談笑しながら、魚のウロコを落とします。
あの魚がいた――。
この魚がいた――。
あこのポイント深いよね――。
――同じ日、同じとき、同じ場所で潜った突き師の間に、話題は事欠きません。海は世界に一つしかありませんが、それに向かう人々の胸の中、海のドラマは海人の数だけあるのです。
喇叭潜人さんは父の日だから、くまもんさんは明日の仕事のために、と帰り支度をします。
そんな中、僕はまだちょっと心残りがあり、ダイスケさんにバカげた進言をします。
「もう一本、いきませんか?」
この日記は後半へと続きます。
鹿児島のダブルスナイパー
きょうは、鹿児島の「ダブルだいすけ」またの名を「だいすけブラザーズ」とか「体力おばけコンビ」などなど、たくさんあだ名のあるふたりぐみ「ダブルスナイパー」でのごうとつでした。
このコンビは「磯臭い野蛮人編」いらいです。
ちなみにあのとき、だいすけさんの長銛「4mのファルコン」と、「デビルスナイパー」というカッコよすぎて逆にカッコイイなまえの「モリいれ」をしょうかいしましたが、かごしまでいちばんのロングリーチがだいすけさんです。
はんたいにボクは「2mアルミ銛」という かごしまで いちばん みじかい モリをつかっています。
おなじだいすけでも つかっているモリが たいしょうてき だから「遠方射撃のデビルスナイパー」と「近接穴撃ちのアナルスナイパー」というふうに よびわけ されはじめたボクたち「ダブルスナイパー」です。よろしくね。
そんなかんじでいつものように じてんしゃ でボクがだいすけさんちまでいって、そこからクルマで1じかんはん、海へとむかいました。
えらんだポイントは、ボクとだいすけさんが はじめていっしょにもぐったトコロです。
はじめてきたときはアカハタがいっぱいいたので、ボクはまたアカハタがつきたいな、といいましたが、「今年に入って、ここではまだ一匹も見てないんだよねー」とだいすけさん。
オールシーズンをもぐりはじめてまだ1ねんのボクは、きせつによってのおサカナをまだまだべんきょうちゅうなのです。
でもでも今年になってからも ちいさいの1ぴき だけど みつけてつくことできたし、だいすけさんもべつのばしょで50オーバーのアカハタをついているのです。まったくいないワケではありません。
アカハタがいたらいいなとおもいながら、いよいよ海のなか。
うーん、キレイ!
春にごりのぬけてきた、ギリギリ梅雨入り前の初夏の海です。
そんなことをかんがえながらボクがシュノーケリングをしていると、モリをかまえている だいすけさんに そうぐう しました。
どうやらアカハタがいたそうです。
でも、せまい穴にはいりこまれて、4mをこえる長い銛ではかえって不利だといいます。
それならば、とバトンタッチ。
デビルスナイパーがおいつめたあなで、アナルスナイパーがおいうちをかけ、ものの1ぷんでアカハタをものにしました。
「うぇーい!」
と、あおい海と あおい空 のまんなかで、ふたりハイタッチをしたのでした。
そのごのボクは、課題である 短い銛に不利な ちゅうそう をおよぎまわるイシダイにたいして、いままで せいこう したことのないワンダッシュというワザで しょうぶにでます。
まずはゆっくりともぐって、いわのうえに ちゃくてい。
すぐにいわをけってとびかかれるように、ひざをまげて、あしばをセットします。
あとはいつもどおり、よるのをまちます。
ねらうのは、
よせにかかって こちらにむかってくるところ。
ほうこうてんかん されるまえのギリギリのキョリ。
いわをけって まあいをつめ、モリでひとつき。
こちらにむかってきてるところをねらうと、なかなかすぐには はんのう できないみたいですね。まさに カウンターです。
短いモリでサカナをつくには、とにかくワザをみにつけていく。
それがとてもたのしいです。
この日の動画です。